サーバントリーダーシップ

公開日 2011.03.01 和田東子(HRDジャーナリスト)

サーバントリーダーシップ(さーばんとりーだーしっぷ)

アメリカのコンサルタント、ロバート・グリーンリーフが1960年代半ばから提唱したリーダーシップ哲学。「真のリーダーはまず奉仕者であれ」"Good leaders must first become good servants."という言葉などで知られる。

当時、条件適合理論等の展開によってリーダーの支援的役割について言及されながらも、リーダーとは「強力なリーダーシップを発揮して組織を引っ張っていく存在」として論じられていた。その中で「奉仕(サーバント)こそが、リーダーシップの本質である」と述べたグリーンリーフのこの概念は、新しいリーダー像として大きなインパクトを与えた。

例えばリーダーシップ開発の第一人者ロバート・ケリーが提唱したフォロワーシップは、サーバントリーダーシップ概念を継承している。ケリーは1985年の『ゴールドカラー』でフォロワーシップの原型となるアイデアを論じているが、そこにはグリーンリーフの影響が明らかに見られる。

グリーンリーフのサーバントリーダーシップは、アカデミックな立場から検証されたものではない。グリーンリーフの持論であり、実践の哲学である。『最強組織の法則』で有名になったものの『出現する未来』で世間を驚かせたピーター・センゲ、『ダイアローグ』のディビッド・ボーム、『シンクロニシティ』のジョセフ・ジャウォースキーら、ニューエイジの旗手たちと深く親交し、影響を与えたことでも知られる。

とはいえグリーンリーフが提唱したサーバントリーダーシップは、アカデミック分野、経営現場を問わず影響を与え、今日的なリーダーシップ像の形成に大きく貢献した。

■参考文献
『サーバントリーダーシップ』 ロバート・K・グリーンリーフ著(英治出版、2008)
『ゴールドカラー』 ロバート・E・ケリー著(リクルート出版部、1985)
『9つの黄金則』 ロバート・E・ケリー著 (PHP研究所、1999)

■関連用語
リーダーシップ理論