フィードラー理論

公開日 2011.03.01 和田東子(HRDジャーナリスト)

フィードラー理論(ふぃーどらーりろん)

1964年にフレッド・フィードラーが提唱した条件適合理論。フィードラーは400人以上のビジネスパーソンに対して、各人のリーダーシップスタイルと状況要因との関係性を調査した。

フィードラーは、ある人物が自分にとって最も苦手な相手について、どのように評価しているかを見ることで、その人のリーダーシップスタイルを測定した。この測定方法は「最も好ましくない仕事仲間(LPC:least-prefered coworker)に関する質問紙」と呼ばれる。

LPCでは、最も苦手な相手を比較的好意的に評価しているリーダーは「高LPC」であり、人間関係志向のリーダーシップスタイルであると評価する。反対に最も苦手な相手を比較的悪く評価しているリーダーは「低LPC」であり、タスク志向のリーダーシップスタイルと見なす。

このLPCの結果に、仕事の三つの状況要因(条件適合変数)をかけ合わせると、最も効果的にリーダーシップを発揮し、高業績につながる組み合わせが導き出されるというのが、フィードラーのアイデアであった。

ここでいう三つの状況変数とは、①リーダーとメンバーの関係、②仕事・課題の明確さ(タスク構造)、③リーダーが部下をコントロールする権限の強さ(職位パワー)である。

この仮説に基づいてフィードラーは、1200以上の集団を調査した。その結果、きわめて好ましい状況と、きわめて好ましくない状況においては、タスク志向型リーダーのほうが人間関係志向型のリーダーよりも高業績を上げる傾向があるという結論に達した※。

フィードラーの特徴は、彼が、ある人のリーダーシップスタイルは固定的なものだと考えていた点にある。そのためある状況においてリーダーがふさわしくないと判断された場合、対応は基本的に二つしかない。一つは状況により適したリーダーに変えるか、もう一つはタスクや組織の変更を行って、状況のほうをリーダーに合わせて変えるかである。

フィードラー理論は実地調査ではこの理論を裏づける十分な証拠が得られていない。また条件適合変数が少なすぎるといった批判もある。ただしこの理論の核である、状況とリーダーシップスタイルから導き出される結果(業績)との関係については、後続の研究によって、おおむねその理論の正しさが支持されている。


※『組織行動のマネジメント』(ステファン・P・ロビンス著、ダイヤモンド社、1997、P221参照)

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