目標設定理論

公開日 2011.03.01 和田東子(HRDジャーナリスト)

目標設定理論(もくひょうせっていりろん)

アメリカの心理学者エドウィン・ロックが提唱した理論(1968年)。基本的な考え方は、人は目標の形で「何をすべきか」が示されると、そのこと自体が動機づけの源になるというもの。この理論は複数の調査によって有効性が認められている。

①難しい目標ほど、高い成果につながる
一般にはやさしい目標のほうが、受け入れられやすいと考える。しかし難しい目標であっても一旦受け入れられると、人は目標が達成されるか、引き下げられるか、中止されるまで、努力し続ける。そのため「目標が難しいほど、高い成果につながる」ということができる。

②明確な目標ほど、高い成果につながる
「頑張りましょう」といった抽象的な目標よりも、「○月○日までに~を終わらせる」といった具体的な目標のほうが、高いレベルの結果を出すことができる。

③目標設定に参画することは難しい目標の受容度を上げる
一見、目標設定に参画したほうが、そうでない場合に比較して、高い結果を出すように思える。しかし実際は、目標設定に参画したかしないかは、目標達成に大きな影響を与えてはいない。
ただし、目標設定に参画するほうが、難しい目標を受け入れる度合いは高まる。したがってすんなり受け入れがたい難しい目標の場合には、目標設定に参画させたほうが高い成果に結びつきやすいとはいえる。

目標の設定によって業績をマネジメントする目標管理については、1950年代にピーター・ドラッカーが提唱している。目標設定理論はその理論的枠組みとして位置づけられている。

■参考文献
『組織行動のマネジメント』ステファン・ロビンス著(ダイヤモンド社、1997)
『動機づける力』DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー編集部(ダイヤモンド社、2005)
『マネジメント 基本と原則』ピーター・ドラッカー著(ダイヤモンド社、2001)

■関連用語
モチベーション理論