公開日 2011.03.01 和田東子(HRDジャーナリスト)
ワークプレイスラーニング(わーくぷれいすらーにんぐ)
ワークプレイスラーニング(WPL)に関する定義はさまざまあり確定していない。最も広義には「仕事の活動や文脈で発生する学習」である。
この定義をベースとして、WPL研究は主に2つの立場に別れる。1つは研修などのフォーマルな学習に対して、インフォーマルな側面を強調する立場である。成人学習の中心はインフォーマルで偶発的な学習にあるとするもので、この場合のWPLは意図的ではあるかもしれないが、高度に構造化されているわけではない。具体的には日々の仕事での教え合い、コーチング、自主的な学習活動などを想定している。
もう1つの立場は、WPLと業績との関係性に着目するものである。この場合はフォーマル、インフォーマルを問わず、業績に結びつく学習を想定する。蒋麗華はWPLを「業績をあげる場での、業績と学習の同期化」と定義した。
後者の立場を支持する場合、WPLはナレッジ・マネジメント、eラーニングを含む研修設計、コーポレート・ユニバーシティ、職場内外における多様な人々との関わり合いなど、「学び」が発生しうるあらゆる場面を包含する概念となる。その場合おのずとより効果的な学習を目指し、企業の人材育成を統合的にとらえた再設計を促すことになる。このような観点から積極的な提言を行っているのが中原淳、荒木淳子らだ。
この意味でWPLという言葉を使う場合、ナレッジ・マネジメント、コーポレート・ユニバーシティとの違いが理解しにくい。参考までに周辺概念との関係性を整理した。
■関連用語
インストラクショナルデザイン