公開日 2011.03.01 和田東子(HRDジャーナリスト)
カークパトリックの4段階評価(かーくぱとりっくの4だんかいひょうか)
社内教育の成果を評価するための指針であり、現在、世界で最も有名なのがこの「カークパトリックの4段階評価」である。
これは①反応(Reaction)、②学習(Learning)、③行動(Behavior)、④成果(Results)の4段階で教育の成果を判定するもの。
①反応(Reaction)
受講中や受講後の受講者の反応や満足度によって評価を行う。受講後にアンケート調査を行うのが一般的だが、研修スタッフが受講者の様子を観察するという方法もある。
②学習(Learning)
受講者の理解度や習得度、あるいは目標の達成度を評価する。研修終了時に、修了テストや実技を行うことで判定する。
③行動(Behavior)
受講後に受講者の行動が変わったかどうかを評価する。受講終了から一定期間後に、受講者やその上司に対してインタビュー、あるいはアンケート調査を行うのが一般的である。
④成果(Results)
受講者の行動変容が企業に対してどのようなインパクトを与えたのか(あるいは与えなかったのか)を測定する。指標の取り方は、研修によって工夫する必要がある。
この4段階評価では業績への貢献度を測定することができないとして、ジャック・フィリップス(Jack J. Phillips)は、ROI(投資収益率)を用いて研修成果を評価することを提唱した。考え方としては分かりやすく、以下の公式を使う。
ROI=(研修の結果生じた収益−研修コスト)/研修コスト
しかしこの公式を使ったとしても、実際に「研修の結果生じた収益」を特定することは難しい。そのため、アメリカの人事・人材開発関係者の間では、2000年代前半になると、カークパトリックに頼らない別の手法で研修成果を評価する必要性が指摘されてきた。
カークパトリック見直し議論の中で注目されたのが「シックス・シグマ」である。これはGEが経営改革手法として導入し、現在でもGEの中核システムとして機能させている手法である。
研修の評価手法としてシックス・シグマが注目された理由は、シックス・シグマは扱う問題が何であれ、そこで行われる活動の結果を指標化し、評価しようとするものであるからだ。
つまりシックス・シグマを導入することで、従来、指標の設定が難しい教育活動に対しても、研修の種類に応じた指標を設定し、組織および業績に対する貢献度を評価しようとしたのである。
■関連用語
インストラクショナルデザイン