ブルームの三つの学習領域

公開日 2011.03.01 和田東子(HRDジャーナリスト)

ブルームの三つの学習領域(ぶるーむのみっつのがくしゅうりょういき)

教育のゴール、すなわち「人は何を学ぶことができるのか」についての先駆的な研究は、ベンジャミン・ブルームの「タキソノミー」(教育目標分類)である。

彼は、人が学習する事柄は、「認知的領域(cognitive domain)」、「情意的領域(affective domain)」、「精神的運動領域(psychomotor domain)」という3つの領域に分類できるとし、さらにそれぞれ2つずつ、計6つの下位領域を設定した(1956年)。

ブルームの3つの学習領域は広く認められているが、その下位分類は多くの修正を受けている。修正の代表例はロバート・ガニェによるものである。

ガニェは学習の成果を「知的技能」「認知的方略」「言語情報」「運動技能」「態度」の5つに整理した(学習成果の5分類)。また、主要な学習目標となる知的技能は、簡単な技能からより複雑で高次な技能へ発展するという階層構造を示した(知的技能の階層構造)。

・知的技能(intellectual skills)
物事を区別したり、ルールや原理を適用したり、問題解決を行う能力。学習は初等教育における読み書き計算などの初歩的な技能から、高度の工学的技能や経済学等の専門的技能へと発展していく。

・認知的方略(cognitive strategies)
個人の学習・想起・思考活動を制御する能力。知的技能を応用していく力、そこには有効な思考パターンを引き出して新たな状況に適用することや自己モニタリング(メタ認知)も含まれる。

・言語情報(verbal information)
言葉で述べることができる知識。曜日の名前、文字、数字、市町村の名称など、通常、暗記することを求められる情報。言語情報は知的技能の学習の前提条件となる。

・運動技能(motor skills)
いわゆる運動能力。文字を書く、水を飲むといった日常動作も含まれる。

・態度(attitude)
「情意領域」とも呼ばれる。いわゆる態度。

「ブルームの3つの学習領域」と比較して、ガニェの5分類および知的技能の階層構造は、あまり知られていない。しかし今日でも基盤理論として生きているのはガニェのほうである。

■参考文献
『インストラクショナルデザインの原理』 ロバート・M. ガニェ、キャサリン・C. ゴラス、ジョン・M. ケラー、ウォルター・W. ウェイジャー 著(北大路書房、2007)
『企業内人材育成入門』 中原 淳 、荒木 淳子 、北村 士朗 、長岡 健、橋本 諭 著(ダイヤモンド社、2006)

ブルームの三つの学習領域_知的技能の複雑さのレベルのイメージ

■関連用語
インストラクショナルデザイン