公開日 2011.03.01 深瀬勝範(社会保険労務士、人事コンサルタント)
ESOP(いーそっぷ)
アメリカの退職給付制度の一種で、会社が拠出して従業員に自社株を付与し、従業員は退職時に付与された株式を報酬として受け取る仕組み。法的には、1974年にエリサ法(Employee Retirement Income Security Act:従業員退職所得保障法)において定められた。
従業員に自社株式を取得させる仕組みとして、日本では「従業員持株会」が存在する。これは「希望者のみ加入、いつでも株式売却が可能」ということから従業員の資産形成支援を目的とする福利厚生ととらえられており、「原則として従業員全員が加入、退職時まで引出不可」というESOPとは異なるものである。また、自社株を使った報酬制度としては「ストックオプション」もあるが、これが自社株を一定価格で購入できる「権利」を付与するものであるのに対し、ESOPは自社株そのものを付与するものという点で異なっている。
日本においても、信託等を使ったESOPに類似した制度(「日本版ESOP」)の導入が始まっている。これは、従業員の業績意識の向上と同時に、従業員という安定株主を作ることにより敵対的買収に備えるという一面も持ち合わせている。