公開日 2011.03.01 深瀬勝範(社会保険労務士、人事コンサルタント)
黄犬契約(おうけんけいやく)
労働者が労働組合に加入しないこと、または労働組合から脱退することを条件とする労働契約。このような労働契約を結ぶことは、労働組合の団結権を侵害するものであるから、不当労働行為として禁止されている(労働組合法7条1号)。
英語の「yellow dog contract」(yellow dogは、「卑屈な犬」の意味)を直訳したもの。アメリカでは、1935年に制定された全国労働関係法(National Labor Relations Act、通称:ワグナー法)で黄犬契約の締結が禁止された。
なお、労働組合法7条1号には、「ただし、労働組合が特定の工場事業場に雇用される労働者の過半数を代表する場合において、その労働者がその労働組合の組合員であることを雇用条件とする労働協約を締結することを妨げるものではない」との一文があるが、これは、雇用される労働者の過半数を代表する労働組合との間でユニオンショップ協定やクローズドショップ協定が締結されている場合、その労働組合への加入を条件とする労働契約は(実質的に、他の労働組合への加入を制限する効果があったとしても)、黄犬契約にはあたらないという解釈がなされている。