公開日 2011.03.01 深瀬勝範(社会保険労務士、人事コンサルタント)
執行役員制度(しっこうやくいんせいど)
会社の役員を、経営の意思決定および監督を行う取締役とその意思決定に基づき業務を執行する執行役員とに区分する組織運営の仕組み。
執行役員は、委員会設置会社における「執行役」と異なり、法律等に規定されている機関ではないため、会社によってその位置づけや取り扱いは様々である。業務執行を担当する「取締役」と位置づけている場合は、会社との間で委任契約を締結し、従業員としては取り扱わない。一方、使用人の最高位として位置づけている(取締役としての代表権や業務執行権を有しない)場合は、雇用契約を維持したままで、従業員としての取り扱いを受ける。
もともとは、意思決定と業務遂行の機能を分離することによって経営の迅速化を図ることを目的とするものであるが、取締役の人数削減、及び従来の制度の中で最高位に達した上位役職者のモチベーション維持等をねらいとして導入されることもある。
日本においては、1997年にソニー株式会社が執行役員制度を導入したことから関心が高まり、その後、多くの会社に広がっていった。労務行政研究所が2008年に上場企業等を対象に実施した調査では、執行役員制度の導入率は53.5%となっている。