二重派遣

公開日 2011.03.01 深瀬勝範(社会保険労務士、人事コンサルタント)

二重派遣(にじゅうはけん)

派遣先が派遣元事業主から受け入れた派遣労働者を、さらに業(一定の目的をもって同種の行為を反復継続的に遂行するもの)として派遣すること。派遣された労働者を雇用しないままに他人の指揮命令を受けて労働に従事させる労働者供給事業に該当するため、職業安定法第44条の規定により禁止される。なお、二重派遣は、行政指導により改善されることが多いものの、法律上は「1年以下の懲役又は百万円以下の罰金」という罰則を設けている(職業安定法第64条9号)。

例えば、人材派遣会社からメーカーに販売員として労働者派遣がなされ、さらに、その就業場所がメーカーとは別会社の小売店であった場合、派遣労働者が小売店から指揮命令を受けると、メーカーは二重派遣を行っていることになり、職業安定法に違反する。ただし、派遣労働者に対して小売店が指揮命令を行わない場合(派遣労働者とメーカーとの間にだけ指揮命令関係が認められる場合)、小売店は就業場所を提供しているだけであるから、通常の労働者派遣となり、二重派遣には該当しないことになる。