公開日 2011.03.01 深瀬勝範(社会保険労務士、人事コンサルタント)
労働者供給(ろうどうしゃきょうきゅう)
供給契約に基づいて労働者を他人の指揮命令を受けて労働に従事させることをいい、労働者派遣法に規定する労働者派遣に該当するものを含まないもの。(職業安定法4条6項)これを業として行う(一定の目的をもって同種の行為を反復継続的に遂行する)ものを労働者供給事業という。
労働者供給事業は、土建業や炭鉱業等において古くから行われていたが、そこでは、いわゆる強制労働や中間搾取等が頻繁に発生し、労働の民主化を阻害するおそれが大きいものであった。そこで、職業安定法では、労働組合等が厚生労働大臣の許可を受けて無料で行うもの(法45条)を除いて、労働者供給事業を全面的に禁止している。(法44条)
なお、労働者派遣との区分については、供給元と労働者との間に雇用関係がないものは労働者供給とされる。また、供給元と労働者との間に雇用契約関係がある場合であっても供給先に労働者を雇用させることを約して行われるものは、労働者派遣には該当せず、労働者供給とされる。
厚生労働省「労働者供給事業報告の集計結果」によれば、2009年度において労働者供給事業を実施している労働組合等数は78組合、供給実人員は38,402人となっている。