公開日 2011.03.01 深瀬勝範(社会保険労務士、人事コンサルタント)
勤務延長制度(きんむえんちょうせいど)
定年年齢が設定されたまま、その定年年齢に到達した者を退職させることなく引き続き雇用する制度をいう。
定年年齢に達しても、そのまま雇用契約を継続するものであるから、労働時間や賃金等の労働条件は変更されず、退職金も勤務延長期間が終了して退職するときまで支給されない。なお、勤務延長を公的年金支給開始までの「つなぎ」ととらえて、最高雇用年齢を公的年金の支給開始年齢に対応させて定めているケースもある。
勤務延長制度が導入されても、それまでの定年の定めは残っているため、各労働者は定年年齢に到達すると退職するかどうか検討が行われる。そこで、労働者本人が希望し、かつ労使協定により定めた基準に適合していれば、勤務延長の対象となる。従前の定年年齢に到達しても退職を検討せずに、雇用契約を解約しないまま労働者全員を雇用する場合は「定年引き上げ」となる。
厚生労働省「就労条件総合調査」(2010年)によると、一律定年制を定めている企業のうち、勤務延長制度がある企業数割合(再雇用制度との併用を含む)は22.8%となっており、定年年齢後の労働条件を柔軟に設定できる再雇用制度と比較すると、その導入企業数割合は低い。
■参考
厚生労働省「高年齢者雇用安定法の改正のお知らせ」