公開日 2011.03.01 深瀬勝範(社会保険労務士、人事コンサルタント)
希望退職制度(きぼうたいしょくせいど)
雇用調整など経営上の必要から、定年制の社員に退職金加算等を示して退職者を募る制度で、期間を定めて実施されるものをいう。
一般的に、希望退職制度では、募集期間と募集人数及び応募者の条件(年齢、職種等)が会社側から示され、それに応募するかどうかは各労働者の判断に任される。法律的にいえば、希望退職の募集は「使用者からの雇用契約の解約の申込み」がなされたということで、労働者がこれに応じたときに解約の合意が成立する。したがって取り扱いは、合意退職や自己都合退職の形をとる。
ただし、雇用調整を目的として実施するという性格上、退職金の算定においては、会社都合扱いとする場合が多い。
雇用保険の離職票に記載される離職理由は「事業主からの働きかけによるもの」の「希望退職の募集又は退職勧奨」に該当する。この場合、基本手当の支給において特定理由離職者または特定受給資格者となり、一般の離職者に比べ手厚い給付日数となる。
東京商工リサーチの「希望・早期退職者募集状況調査」によれば、2010年に希望退職者を募集した企業は85社となり、前年(191社)と比べて55.4%減と大幅に減少している。これは、前年がリーマンショックの影響による世界同時不況で製造業を中心に募集実施企業が急増したが、2010年は国の景気対策や新興国需要による輸出増加で上場企業の業績が持ち直したことが大きい。