公開日 2011.03.01 深瀬勝範(社会保険労務士、人事コンサルタント)
パワーハラスメント(ぱわーはらすめんと)
職場において立場が上の者が、業務の範疇を超えて、下位者の人格や尊厳を侵害する言動を継続的に行い、精神的なダメージを与えたり、職場の雰囲気を悪化させたりすること。「パワハラ」とも呼ばれる。パワハラを受けた者がうつ病等を発症させたり、自殺にまで追い込まれたりするケースが生じたため、2005年頃から問題視されるようになった。
経営者や上司等のように権力を持つ者が従業員や部下に対して行うケースが多いが、先輩社員が後輩に対して、あるいは正社員が非正規社員に対して行ういじめや嫌がらせもパワハラとされる。
パワハラが行われると、職場の雰囲気が悪化して従業員の就労意欲が低下する、社外にその事実が知られると会社のイメージが悪くなる等の影響が出てくる。また、パワハラと認定された場合、加害者には民法709条に基づき被害者に対する損害賠償をする責任が発生すると同時に、会社にも民法715条に定める使用者としての責任が問われ、それにより生じた精神的障害等が労災の対象となることもある。
なお、業務上の指導とパワハラとを区分けする明確な基準はなく、過去に労災認定された事例等を参考としながら判断することが必要である。
■参考
厚生労働省 上司の「いじめ」による精神障害等の業務上外の認定について