公開日 2011.03.01 深瀬勝範(社会保険労務士、人事コンサルタント)
ハードシップ手当(はーどしっぷてあて)
海外駐在員に対して支給する手当で、生活水準・様式や社会環境、気候風土の違い等から生じる肉体的・精神的負担等を勘案して支給されるものである。
一般的には、生活水準が日本より低い開発途上国の駐在員に支給されることが多く、仕事や生活におけるストレスや不便さに対して手当をつけて、駐在員の納得性を高めることがその目的である。
労務行政研究所が2009年に行った調査によると、全国の上場企業及びそれに匹敵する企業88社のうち、駐在員に毎月ハードシップ手当を支給している企業数の割合は69.3%であり、そのうち95.1%が定額または定率で支給している。
なお、ハードシップ手当は、肉体的・精神的負担という、いわば駐在員個人の感覚が基準となっているため、その金額設定は難しい。一般的には、「社外の専門機関による海外の生活水準調査等に基づき金額を設定する」、あるいは「実際に現地に駐在している従業員の意見を聴取して金額を設定する」等の方法がとられている。また、開発途上国においては、生活水準が年々向上することが見込まれるため、定期的にハードシップ手当の支給額を調整することも必要とされる。