公開日 2011.03.01 深瀬勝範(社会保険労務士、人事コンサルタント)
名ばかり管理職(なばかりかんりしょく)
労働基準法に定める労働時間、休憩及び休日に関する規定の適用を逃れるため、十分な権限、相応の待遇が与えられていないにもかかわらず、労働基準法上の管理監督者として扱われている者。チェーン展開を行う小売業や飲食業等の小規模店舗の店長、あるいは業種にかかわらず部下をもたない(管理監督者ではない)課長や部長等がこれに該当する。
2008年、日本マクドナルド事件において、東京地裁が「被告における店長は労働基準法上の管理監督者に当たるとは認められない」ものとして、会社に未払い残業代と慰謝料の支払いを命じたことから注目されるようになった。
「名ばかり管理職」の任用は、時間外労働に対する正当な賃金を支払わない脱法行為であり、また長時間労働を強いられた対象者が健康を害することもあるため労務管理上の問題ともされる。
そもそも、労働基準法41条2号に定める「監督若しくは管理の地位にある者」とは、「労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にある者」であり、「職務内容・責任と権限」「勤務様態」「賃金等の待遇」等の点から実態に即して判断されるが、これに該当せずに、管理職としての役職名を付与された者が「名ばかり管理職」となる。
■参考
厚生労働省 「多店舗展開する小売業、飲食業等の店舗における管理監督者の範囲の適正化について」