公開日 2011.03.01 深瀬勝範(社会保険労務士、人事コンサルタント)
裁判員休暇(さいばんいんきゅうか)
裁判員制度により裁判員に選任された従業員が、その職務を果たすための期間、取得する休暇のこと。2009年5月、裁判員制度の開始に伴い、多くの企業で導入された。
裁判員の仕事は労働基準法7条※1の「公の職務の執行」に該当するものとされ、使用者は、労働者が裁判員として必要な休みをとることを請求した場合、それを拒んではならないものとされている。また、裁判員として仕事を休んだことを理由に、解雇などの不利益な扱いをすることも禁止されている。※2
なお、裁判員休暇を有給扱いとするかどうかは企業の判断にゆだねられており、年次有給休暇付与の前提となる出勤率の算定においては「全労働日」から除外して扱うべきものとされている。
労務行政研究所が2008年に実施したアンケート調査によれば、労働者が裁判員に選任された場合の取り扱いを決めている企業のうち、「従来から公職に就く場合の休暇ルールを就業規則で決めており、そのルールを適用」と回答した企業が62.8%、「裁判員休暇を新設した」企は23.9%となっている。また、何らかの休暇を付与する場合、有給扱い(通常勤務時とまったく同じ)とする企業が89.2%となっている。
※1 労働基準法7条
「使用者は、労働者が労働時間中に、選挙権その他公民としての権利を行使し、又は公の職務を執行するために必要な時間を請求した場合においては、拒んではならない。」
※2 裁判員の参加する刑事裁判に関する法律第100条
「労働者が裁判員の職務を行うために休暇を取得したことその他裁判員、補充裁判員、選任予定裁判員若しくは裁判員候補者であること又はこれらの者であったことを理由として、解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。」
■参考
裁判所 裁判員制度Q&A Webサイト