グローバル人材マネジメント

公開日 2011.03.01 和田東子(HRDジャーナリスト)

グローバル人材マネジメント(ぐろーばるじんざいまねじめんと)

グローバルに事業展開する企業が、事業の円滑な運営・進展を目的に導入する人材マネジメント。世界各国で事業を展開する企業にとって、国ごと、拠点ごとに異なる人事制度を運用するのは非効率である。スムーズに人材の交流を進め、シナジー効果を引き出すためには主に①プラットフォーム、②評価、③報酬、④育成の4分野についてグローバル人事施策を展開する必要がある。

①プラットフォーム
グローバル人材マネジメントのプラットフォームになるのは、全世界統一の社員の格付け(Grobal Job Grading)とリーダーシップモデルである。社員格付けを行うには、グローバル共通の格付け対象となるポストの選定から始める。各国の拠点でのみ働くローカル人材以外は、グローバル共通とするのが一般的。
リーダーシップモデルは、企業によって求める人材像を明文化する意味合いもあり、評価等の基盤思想ともなる。

②評価
業績評価とコンピテンシー評価の2本立てが一般的である。業績評価は一期限りのボーナス支給に反映され、コンピテンシー評価は昇進昇格や配置転換等を決める重要指標として活用している企業が多い。グレードに対して一定以上のコンピテンシー評価を得られない人材は重要ポストに就けないのはもちろんのこと、降格や離職勧告対象になる。

③報酬
長期的なインセンティブ(Longterm Incentive)、退職年金、健康保険など(Global Benefit Scheme)、変動給型報酬(Balanced Scored)、心の報酬/非金銭的報酬(Emotional Reward)の4種類からなる。
長期的なインセンティブは中期計画連動型賞与、株式、ストックオプションなど。変動給型報酬とはボーナスのこと。従来欧米にはボーナスの概念がなく、比較的新しい概念。何に対するボーナスなのかを明確にする必要がある。

④育成
サクセッションプラン、グローバルローテーション、コーチング・メンタリングから考える。


■参考文献
『グローバル人事 課題と現実』ヘイコンサルティンググループ著(日本経団連出版、2007)
『グローバル人材マネジメント論』キャメル・ヤマモト著(東洋経済新報社、2006)
『Watson Wyatt Review vol.42』December 2008