トータルリウォーズ

公開日 2011.03.01 和田東子(HRDジャーナリスト)

トータルリウォーズ(とーたるりうぉーず)

各種報酬や勤務待遇を総合的に組み合わせる処遇方法。欧米企業では2005年ごろから導入する企業が増えている。

欧米では1990年代に、成果に対してメリハリの利いた処遇を行うペイフォーパフォーマンス(Pay for Performance:成果主義)に加えて、インセンティブ効果を高めるストックオプションが盛んに活用された。しかし変動幅の高い高報酬は、必ずしもモチベーションの向上とリテンションには効果がないことが明らかになった。

そこで近年では、キャリア構築や就業条件・環境を一人ひとりのニーズに合わせることで、社員の働きに報いる処遇(トータルリウォーズ)が注目されている。最低条件である報酬はもとより、昇格・昇進、教育・トレーニング、キャリアパス、異動、職種転換、オフィス環境、勤務時間管理などのトータルでの便宜性が、社員に提供・支給される報酬であるとの考え方だ。

アメリカの人事に関する国際的な非営利団体であるWorld at Workは、トータルリウォーズは次の5つの要素から構成されると述べている。

①Compensation(報酬、基本給、インセンティブなど)
②Benefits(諸保険、退職金、年金など)
③Work-Life(ワークライフバランス)
④Performance and Recognition(成果と公正な承認)
⑤Development and Career Opportunities(教育の実施とキャリア機会の提供)

しかし社員一人ひとりの報酬を最適化する「ベストミックス」を探すことは容易なことではない。会社戦略への適合性と社員にとっての魅力の観点から価値あるプログラムを見極め、より適切な処遇の組み合わせを考える必要がある。


■参考文献
『日本貿易会 月報』2008年7・8合併号 No.661 P30-34
『Watson Wyatt Revie vol.42』December 2008
『FORTUNE』2006年3月6日号 Issue of "Total Rewards"

トータルリウォーズ_ベストミックスのイメージ