徒弟の弊害排除

公開日 2009.09.18 あした葉経営労務研究所


●使用者は、徒弟、見習い、養成工その他名称の如何を問わず、技能の習得を目的とする者であることを理由として、労働者を酷使してはならず、技能習得を目的とする労働者を家事その他技能の習得に関係のない作業に従事させてはならない(労働基準法69条)。

●この規定は我が国における従来の徒弟制度にまつわる悪習慣を是正し、特に酷使の典型である雑役への使用を禁止する趣旨である。「「家事その他技術の習得に関係のない作業」の中には、機械、道具、器材等の出し入れ、整備、事業場の整頓、清掃等当該技能を習得するに必要と認められる作業は含まれないが、従来兎角かかる作業の範囲を超えて雑役に使用した弊が多かった実情に鑑み、個々の場合につきその範囲を具体的に判断し、監督取締を適切に行う」(昭22.12.9 基発53)とされている。

●労働基準法の立法当時は「技能の習得を目的とする者」とはほとんどが年少者であり、使用者(親方)の従属的立場から、生活全般の雑事を行う例が多く見られたことから、労働基準法56条から64条の規定とあいまって、年少者の保護を具体的に規定したものである。

●労働基準法では、技能者の養成のために「徒弟の弊害排除」を行う一方、特例として認定職業訓練(職業能力開発促進法24条1項・27条の2第2項)を受ける場合に、労働契約期間等について厚生労働省令で別段の定めをすることができる(労働基準法70条)。

●なお本規定(徒弟の弊害排除)は、訓示規定とされる。

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(あした葉経営労務研究所 代表/株式会社キャリア・ブレーン 認定キャリア・コンサルタント 本田和盛)