公開日 2009.09.18 あした葉経営労務研究所
●使用者が18歳未満の労働者を解雇し、その者が解雇の日から14日以内に帰郷するときは、使用者は必要な旅費を負担しなければならない(労働基準法64条)。
●この規定は、年少者が帰郷旅費を持たないために帰郷できず、浮浪化または「女工哀史」に記載されたような淪落の淵に身を沈めることを防止するために制定されたもので、工場法施行令27条を引き継いだものである。なお工場法は、明治44年に制定された我が国最初の労働者の保護を目的とした法律で、女子・年少者の就業制限と、職工一般の保護を明文化したものである。
●帰郷旅費は、労働基準法15条3項に規定する「明示された労働条件と事実が相違する場合に労働者が労働契約を解除して、14日以内に帰郷する場合に使用者が負担すべき旅費」と同義であり、行政解釈では「本人の到着地、父母その他の親族の保護を受ける場合にはその者の住所までの実費」(昭23.7.20 基収2483)をいう。
●帰郷旅費の支払いは退職事由が「解雇」の場合に限られ、自己都合退職、期間満了に伴う労働契約の終了の場合には本規定は適用されない。
●労働者が、本人の帰責事由で解雇され、使用者がその事由について申請し行政官庁の認定を受けた場合、本規定は適用されない。また、使用者が解雇について労働基準法20条の規定に基づく認定(解雇予告除外認定)を受けている場合は、改めて当該申請を行う必要はない(年少則10条2項)。
■関連用語
就業可能な最低年齢
未成年者の労働契約
労働者の即時解除権
(あした葉経営労務研究所 代表/株式会社キャリア・ブレーン 認定キャリア・コンサルタント 本田和盛)