公開日 2019.4.1 あした葉経営労務研究所
●年次有給休暇の計画的付与とは、使用者が労働者との労使協定により年休を与える時季についての定めをし、その定めに従って年休を与える制度である。年次有給休暇の取得率を向上させ、労働時間短縮を推進することを趣旨としている。
●年休日数を労働者の病気その他の個人的事由による取得のために留保しておく必要もあることから、5日を超える部分についてのみ計画的付与の対象となる。計画的付与における5日を超える部分には、前年繰り越し分も含む(昭63.3.14 基発150・婦発47)とされている。
●計画的付与の方法には、①事業場全体の休業による一斉付与方式、②班別の交替制付与方式、③年次有給休暇付与計画表による付与方式がある。なお年休を付与する時季については労使協議に委ねられているが、年休は本来まとまった休みをとることを想定されていることから、ある程度、連続した休暇とすることが望まれる。
●計画的付与に充てる年休の保有日数が足りない、あるいはない労働者を含めて事業場全体で計画的に付与する場合には、付与日数を増やす等の措置が必要である(昭63.1.1 基発1)。
●計画年休により具体的な休暇日が定められた場合には、それに反対する労働者の時季指定権および使用者の時季変更権はともに行使できない(昭63.3.14 基発150)。
●特別の事情により年休の付与日があらかじめ定められることが適当でない労働者については、年休の計画的付与の労使協定を結ぶ際、計画的付与の対象から除外することも含め、十分労使関係者が考慮するよう求められている(昭63.1.1 基発1)。
●年次有給休暇が10日以上付与される労働者に対し、5日の年休を取得させる義務(時季指定義務)が使用者に義務づけられているが、計画年休として付与した日数については時季指定義務から控除される。
(あした葉経営労務研究所 代表 本田和盛)