公開日 2009.08.18 あした葉経営労務研究所
●1カ月を超え1年以内の一定期間の1週当たり所定労働時間の平均が、40時間を超えないことを要件として、期間内の特定の日または週において法定時間を超えて労働させることができる制度である。所定の手続きをとることにより、法定労働時間規制を回避し、割増賃金の支払いを不要とする扱いとすることができる。
●1年単位の変形労働時間制は、季節により繁閑の差がある事業において、繁忙期の所定労働時間を長くする代償として、閑散期の休日を増加させること等により、所定労働時間を短くすること等、労働時間の配分により、全体の労働時間の短縮を図るルール作りを促進することを目的としている。
●1年単位の変形労働時間制を実施する場合、事業場において所定の事項について労使協定を締結し、行政官庁へ届け出なければならない。
●当該変形労働時間制は、長期間にわたるものであるため、期間中の所定労働日数、1日または1週の所定労働時間、連続して労働させることができる日数について限度が定められている。また配置転換、中途入社、退職等により、全ての期間在籍しない労働者については、在籍する期間を平均して、1週間当たりの労働時間が40時間を超えて労働した時間について、割増賃金の支払いを要する(法32条の4の2)。
<労使協定で定める事項>
①労働者の範囲
②対象期間および起算日
1カ月を超え1年以内の範囲内及びその起算日
③特定期間(対象期間中の特に業務が繁忙な期間)を定める場合にはその期間
対象期間中の特に業務が繁忙な期間。なお、対象期間中に特定期間を変更することはできない(平11.1.29 基発45号)
④対象期間の労働日および労働日ごとの労働時間
(対象期間の労働日)
・対象期間3カ月超の場合:280日
280日×対象期間の総暦日数/365
・対象期間3カ月未満の場合:313日
313日×対象期間の総暦日数/365
・1日及び1週間の所定労働時間(労働時間の限度)
1日10時間、1週52時間
・対象期間が3カ月超の場合
48時間を超える週数は連続3以下、かつ、対象期間を3カ月ごとに区分した各期間において、48時間を超える週の合計数が3以下でなければならない。(連続労働日数の限度)
・対象期間中:6日
・特定期間中:12日(1週間に1日の休日を確保)
⑤有効期間
1年程度とすることが望ましいが、3年程度以内のものであれば受理してもかまわない。(平6.1.4 基発1号、平11.3.31 基発168号)
■関連用語
労使協定
1カ月単位の変形労働時間制
1週間単位の非定型的変形労働時間制
フレックスタイム制
(あした葉経営労務研究所 代表/株式会社キャリア・ブレーン 認定キャリア・コンサルタント 本田和盛)