公開日 2009.04.28 あした葉経営労務研究所
●使用者は、労働者の退職または死亡により労働契約関係が終了した場合において、権利者からの請求があったときは、7日以内に賃金を支払い、積立金、保証金、貯蓄金その他名称の如何を問わず、労働者の権利に属する一切の金品を返還しなくてはならない(労働基準法23条)。
●本規定は、労働契約終了後において、労働者への賃金支払い、その他金品の返還が遅滞することにより、労働者の足止めとなることや、労働者やその遺族の生活が困窮することを防ぐことを目的としている。
●この規定は、労働基準法24条に定める賃金支払いの原則の特例であり、労働者から請求があったときは、本来定められた支払期日の到来前であっても、7日以内に賃金を支払う必要がある。
●退職手当については、通常の賃金の場合と異なり、あらかじめ就業規則等で定められた支払時期に支払えばよい(昭26.12.27 基収5483)。ただし、支払時期を定めていない場合の退職金の支払については、労働基準法23条に基づき、請求日から7日以内に支払うべきものである(宇田工業事件 大阪地裁 昭60.12.23判決)
●「権利者」とは、労働者本人もしくは労働者本人が死亡した場合にはその遺産相続人を指し、一般債権者は含まれない(昭22.9.13 発基17)。
■関連用語
賃金支払いの5原則
毎月払い、一定期日払いの原則
(あした葉経営労務研究所 代表/株式会社キャリア・ブレーン 認定キャリア・コンサルタント 本田和盛)