退職時等の証明

公開日 2009.04.28 あした葉経営労務研究所

 

●労働者が退職に際して、一定の事項に関する証明書(退職時証明書)を請求した場合、使用者は遅滞なくこれを交付しなければならない(労働基準法22条1項)。

●本規定は、労働者の再就職活動の円滑化、使用者による妨害の禁止、解雇をめぐる紛争の未然防止、紛争の迅速な解決を図ることを目的としている(平15.12.26基発1226002)。

●使用者が証明すべき一定の事項は次のとおりである。
①使用期間(在籍期間)
②従事していた業務の種類
③その事業における地位
④賃金
⑤退職の事由(退職事由が解雇である場合は、その理由をも含む)

●労働者が、解雇の予告がされた日から退職の日までの間において、解雇の理由について証明書(解雇理由証明書)を請求した場合は、使用者は遅滞なくこれを交付しなければならない。ただし、解雇予告がされた日以後に労働者が本件解雇以外の理由で退職した場合は、使用者は退職日以後、交付する義務を免れる(労働基準法22条2項)。

●この証明書は、労働者が請求をした場合に、請求した事項についてのみ記入し交付するものである。労働者が請求しない事項を記入してはならない(平11.1.29基発45号)。

●退職の事由とは、自己都合退職、勧奨退職、定年退職等労働者が身分を失った事由である。なお退職事由が解雇である場合は、具体的に示す必要がある。つまり、就業規則の一定の条項に該当することを理由として解雇した場合には、就業規則の内容及び当該条項に該当するに至った事実関係を証明書に記入しなければならない(平15.12.26 基発1226002)。

●使用者は、あらかじめ第三者と謀り、労働者の就業を妨げることを目的として、労働者の国籍、信条、社会的身分もしくは労働組合運動に関する通信をし、退職時証明書、解雇理由証明書に、秘密の記号を記載してはならない。(労働基準法22条4項)


■関連用語
解雇
解雇予告義務


(あした葉経営労務研究所 代表/株式会社キャリア・ブレーン 認定キャリア・コンサルタント 本田和盛)