解雇制限

公開日 2009.04.28 あした葉経営労務研究所



●労働基準法は次の場合について労働者の解雇を禁止する規定を設けている(19条1項)。
①労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業する期間およびその後30日間
②産前産後の女性労働者が労働基準法65条の規定により休業する期間及びその後30日間

●上記規定は、いずれも労働能力を喪失し、就職活動が困難な期間の解雇を制限し、労働者の休業期間中の生活の保護と精神的安定を図ることを趣旨としている。

●①の場合、労働基準法81条の規定による打切補償を行った場合は、解雇することができる。

●①②いずれの場合も、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合は、行政官庁の認定を受けて、当該労働者を解雇することができる。

●やむを得ない事由により事業の継承が不可能となった場合とは、「事業の全部または大部分の継続が不可能となった場合」(昭63.3.14 基発150)を指し、経営不振による合理化等は該当しない。

●解雇制限期間中の労働者には、本人の責に帰すべき事由に基づいて行う懲戒解雇であっても認められない(小倉炭鉱事件 福岡地裁小倉支部 昭31.9.13)。ただし、解雇制限期間中の労働者に対して、労働基準法20条による解雇予告を行うことはできる。

●業務上の傷病にかかった労働者が、療養開始後3年経過した日において傷病補償年金を受けている場合、療養開始後3年経過した日後の日において傷病補償年金を受けている場合は、その日に労働基準法81条の打切補償を支払ったものとみなされ、解雇制限が解除される。(労災保険法19条)


■関連用語
解雇
解雇予告義務
産前産後休業


(あした葉経営労務研究所 代表/株式会社キャリア・ブレーン 認定キャリア・コンサルタント 本田和盛)