労働者の即時解除権

公開日 2009.04.28 あした葉経営労務研究所



●労働契約締結時に明示された労働条件が、事実と相違した場合には、労働者は労働契約を即時に解除することができる(労働基準法15条2項)。ただし、絶対的明示事項及び相対的明示事項として明示された労働条件に限られる。

●就業のために住居を変更した労働者が即時解除権を行使し、その解約の日から14日以内に帰郷する場合で、その要した旅費を請求したときは、使用者はこれを負担しなければならない(同15条3項)。労働者が、帰郷費用がないために労働条件の悪い職場に留まらざるを得ない、という状況を防止することを目的としている。

●帰郷のための旅費とは、帰郷するまでに通常必要とする一切の費用をいい、交通費、食費、宿泊費を含む。また労働者本人のみならず、労働者により生計を維持されている同居親族(内縁の妻を含む)の旅費も含む(昭22.9.13 発基17)。

●即時解除権は、請求権ではないため労働基準法115条の消滅時効の適用は受けない。帰郷旅費請求権の消滅時効は、同条の規定により即時解除権を行使したときから2年である。使用者は、労働者から帰郷旅費の請求を受けたときは遅滞なく支払わなければならない。


■関連用語
労働条件の明示
労働条件の絶対的明示事項・相対的明示事項


(あした葉経営労務研究所 代表/株式会社キャリア・ブレーン 認定キャリア・コンサルタント 本田和盛)