労働条件の絶対的明示事項・相対的明示事項

公開日 2009.04.28 あした葉経営労務研究所



●使用者は労働契約の締結の際に、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この労働条件には、必ず明示が必要なもの(絶対的明示事項)と定めがある場合に明示が必要となるもの(相対的明示事項)がある。このうち、絶対的明示事項(昇給に関する事項を除く)については、書面交付により、労働条件を明示することが義務付けられている(労働基準法15条1項、同施行規則5条)。

●相対的明示事項については、口頭のみで明示することも可能である。また絶対的明示事項についても、全てを書面にまとめて明示するのではなく、就業規則の該当箇所をコピーして配布するのが実務上一般的である。通達でも、「当該労働者に適用する部分を明確にして就業規則を労働契約の締結の際に交付することとしても差し支えない」(平11.1.29 基発45)としている。

●また派遣元使用者は、労働者派遣法における労働基準法の適用に関する特例により自己が労働基準法に基づく義務を負わない労働時間、休憩、休日等を含めて、労働基準法15条の労働条件明示義務を負う(昭61.6.6 基発333)。

●明示された労働条件が事実と相違する場合は、労働契約の即時解除の対象となる。ただし、絶対的明示事項及び相対的明示事項として明示された労働条件に限定される。


■関連用語
労働条件の明示
労働者の労働契約即時解除権


(あした葉経営労務研究所 代表/株式会社キャリア・ブレーン 認定キャリア・コンサルタント 本田和盛)