フィリップス曲線

公開日 2009.03.23 三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社



●失業率と賃金改定率(または物価上昇率)との間の関係を示す曲線のこと。1958年にA.W.フィリップスがイギリスの統計資料を用いて示した。

●一般的に、失業率が高い状況下では、人材の採用が容易になること、業績悪化の懸念があること等から、企業は賃金上昇率を抑える。したがって、失業率が高まると、賃金改定率は低くなる。この関係は、横軸に失業率、縦軸に名目賃金上昇率をとったグラフ上では右下がりの曲線として描かれる。これをフィリップス曲線という。

●賃金改定率を物価上昇率に置き換えても同じような曲線が描かれ、これもフィリップス曲線と呼ばれる。これは、失業率が低くなれば物価上昇率が高まることを表しており、完全雇用と物価安定とがトレードオフの関係にあることを示している。

●フィリップス曲線は一定のものがあるわけではなく、国や時代の経済状況に応じて異なるものとなる。日本の1980年以降のフィリップス曲線を作成すると、完全失業率が2.5%以下のときには賃金改定率は5.0%以上に、失業率が4.0%を超えると賃金改定率は2.0%以下になる傾向を読み取ることができる。