試用期間

公開日 2009.02.27 あした葉経営労務研究所



●正規従業員の採用では、当初から本採用とせず、一定の試みの使用期間を設け、従業員としての適格性を判断した後、本採用とするケースが多い。この期間を試用期間という。

●試用期間は、判例上、使用者側に解雇権が留保された期間(解約権留保付労働契約)とされ、就業規則に解約事由を記載することで、通常の解雇よりも広い範囲において解雇が認められる。ただし、その留保解約権の行使は、解約権留保の趣旨・目的に照らして、客観的に合理的な理由が存在し、社会通念上相当として是認されうる場合にのみ許される(三菱樹脂事件 最高裁大法廷 昭48.12.12判決)。

●試用期間の長さは、法による規制はなく、企業が就業規則等により定めることができる。ただし、試用期間を長期間定めることは労働者に不当な不利益を強いることになるため最長でも1年が限度と解される。また、試用期間の長さが14日を超える場合、解雇予告が必要となる(労働基準法21条)

●当初定めた試用期間を何らかの事情により延長する場合は、使用者・労働者双方の同意、または、就業規則等に延長の可能性、理由、延長する期間を明確に規定すること等が必要である。

●試用期間中であっても労働基準法による規制は受ける。また、試用期間満了時において本採用を拒否する場合、試用期間中の指導・教育等の状況及びその事由のいかんによっては、解雇無効となる。


(あした葉経営労務研究所 代表/株式会社キャリア・ブレーン 認定キャリア・コンサルタント 本田和盛)