労働契約法

公開日 2009.02.27 あした葉経営労務研究所


●労働契約についての民事的な基本的ルールを明らかにして、労働者を保護しつつ、個別の労働関係の安定を図ることを目的として平成20年3月から施行された法律である。

●法制定の趣旨として行政通達(平20.1.23 基発0123004)で以下のように述べられている。
・労働関係を取り巻く状況をみると、就業形態が多様化し、労働者の労働条件が個別に決定され、または変更される場合が増加するとともに、個別労働関係紛争が増加している。
・わが国においては、最低労働基準については労働基準法に規定されているが、個別労働関係紛争を解決するための労働契約に関する民事的なルールについては民法及び個別の法律において部分的に規定されているのみであり、体系的な成文法は存在していなかった。
・このため、個別労働関係紛争が生じた場合には、それぞれの事案の判例が蓄積されて形成された判例法理を当てはめて判断することが一般的となっていたが、このような判例法理による解決は、必ずしも予測可能性が高いとはいえず、また、判例法理は労働者及び使用者の多くにとって十分には知られていないものであった。
・このような中、労働契約の基本的な理念及び労働契約に関する共通する原則や、判例法理に沿った労働契約の内容の決定及び変更に関する民事的なルール等を一つの体系としてまとめるべく、労働契約法を新たに定めることとした。

●労働基準法は行政当局の監督指導及び罰則により最低労働基準の履行を確保しているが、労働契約法については行政当局の監督指導及び罰則による履行確保は行われない。したがって、労働契約法の趣旨及び内容の周知により、また、労使の個別労働関係紛争が生じた場合は、個別労働関係紛争解決促進法に基づく都道府県労働局長による助言及び指導、紛争調整委員会によるあっせん等が行われ、個別労働関係紛争の防止及び早期解決が図られることにより、合理的な労働条件が確保されることとなる。


■関連用語
労働基準法
個別労働関係紛争解決促進法

(あした葉経営労務研究所 代表/株式会社キャリア・ブレーン 認定キャリア・コンサルタント 本田和盛)