公開日 2009.02.06 あした葉経営労務研究所
●「誠実義務」の一つとして、労働者には、使用者の営業上の秘密を保持すべき義務がある。秘密保持義務については、就業規則に定めをおく場合のほか、個別に誓約書の提出を求める場合がある。就業規則の定めや誓約書の提出がない場合であっても、在職中は信義則上、当然に秘密保持義務を負うとされている。
●秘密保持義務に違反した場合、労働者は懲戒処分の対象とされ、債務不履行や不法行為による損害賠償を請求されることもあり得る。
●退職後の義務については、競業避止義務と同様に就業規則による定め、退職労働者との合意書等、特別な根拠が必要である。
●近年では不正競争防止法によって、企業側の営業機密を保護する法制が整備されている。同法には、在職中・退職後の労働者について、守秘義務に係る特約の有無にかかわらず、不正の利益を得る、または使用者に対する加害目的で(2条1項7号)営業秘密を使用・開示した者に対し、差し止め、信用回復、損害賠償が請求できる。また処罰規定(10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金)(21条1項5号)が設けられている。
■関連用語
労働契約
二重就業の禁止義務
競業避止義務
(あした葉経営労務研究所 代表/株式会社キャリア・ブレーン 認定キャリア・コンサルタント 本田和盛)