公開日 2009.02.06 あした葉経営労務研究所
●企業秩序は、企業経営のために必要不可欠なものであり、使用者には企業秩序を宣明し、遵守させる権限がある。
●労働者が、使用者と労働契約を結ぶことによって生じる義務は、第一義的には「労働義務」そのものであるが、組織の一員として働くうえで当然に遵守すべき付随義務として「企業秩序遵守義務」を負う(富士重工業事件 最高裁三小 昭52.12.13判決)。
●この「企業秩序遵守義務」の細目については、就業規則の「服務規律」によって規定され、違反した労働者は、懲戒処分の対象となる。ただし、どこまで「服務規律」によって労働者の行動を規制できるかは議論がある。
●例えば、労働者の容姿、容貌について規律する定め、職務遂行に直接関連のない私生活上の問題に対しての懲戒については、労働者のプライバシー・人格権を保護する観点から、企業の規模・業種、労働者の職種・地位、行為の行状・反社会性の程度等により判例の判断もさまざまに分かれている。
■関連用語
労働契約
労働者の人格的利益に配慮する義務
(あした葉経営労務研究所 代表/株式会社キャリア・ブレーン 認定キャリア・コンサルタント 本田和盛)