退職金請求権

公開日 2009.02.06 あした葉経営労務研究所



●退職金の請求権は、その支給要件を定めた労働協約、就業規則、労働契約等に基づき、退職時において発生する。

●就業規則等において、懲戒解雇や退職後の同業他社への転職(いわゆる競業避止義務違反)等、退職事由に基づき、不支給あるいは支給額の減額を定めている場合がある。

●使用者は、退職金を支給する義務を当然に負うわけではなく、支給基準についても任意に定めることができる。

●退職金の不支給もしくは減額条項については、著しく合理性を欠く場合は違法とされようが、退職金は功労報償的性格を有するため、競業避止義務違反の場合は、ある程度の減額は認められる傾向にある。ただし、長期間の勤続の功を抹消してしまうほどの信義に反する行為があった場合に限定されよう。「不支給・減額規定を有効に適用できるのは、退職金の賃金後払い的性格をも考慮し、労働者のそれまでの勤続の功を抹消ないし減殺してしまう程の重大な背信行為があった場合に限られる」(日本高圧瓦斯工業事件 大阪高裁 昭59.11.29判決)

●退職金の不支給・減額は、就業規則等の根拠規定が必要である(日本コンベンションサービス事件 大阪高裁 平10.5.29判決)


■関連用語
退職金

(あした葉経営労務研究所 代表/株式会社キャリア・ブレーン 認定キャリア・コンサルタント 本田和盛)