公開日 2009.02.06 あした葉経営労務研究所
●賃金は、原則として「通貨」でその「全額」を支払わなければならない。ただし、労働組合(労働組合法2条1項)が組織されている事業においては、労働協約締結を要件として、一定のものについて現物による支給が認められている。
●賃金として認められる現物とは、自社製品等の有形物のほか、住宅貸与、通勤定期券等も含まれる。
●通貨以外のもので支払われた賃金も、平均賃金、割増賃金の算定基礎に含まれるため、現物給与の評価額を、労働協約に定める必要がある(労働基準法施行規則2条2項)。
なお、定めた評価額が不適当と認められる場合、または評価額が定められていない場合は、都道府県労働局長が評価額を定めることができる
●労働協約は必ずしも過半数労働組合との間で締結されたものである必要はないが、現物給与が認められるのは、あくまで当該労働協約を締結した組合員に限られる。
●民法623条(雇用)においては、労働者保護の概念が希薄なため、労務の対価としての報酬は、必ずしも金銭による支払いを要せず、現物給付でも技術の伝承でも構わないとされていた。
■関連用語
通貨払いの原則
全額払いの原則
平均賃金
割増賃金
(あした葉経営労務研究所 代表/株式会社キャリア・ブレーン 認定キャリア・コンサルタント 本田和盛)