休業手当

公開日 2008.12.15 あした葉経営労務研究所

 

●労働者が、労働契約に従って労働の用意をなし、労働を提供する意思を有しているにもかかわらず、使用者の責に帰すべき事由によって就業できなかった場 合、使用者はその休業期間中、当該労働者に対し平均賃金の60%以上の手当を支払わなければならない。この手当が休業手当であり、労働者の最低限の生活保 障を目的としている。
なお、休業は全一日の休業であることは必要なく、1日の一部を休業した場合も含む。

●このようなケースにおいて、民法536条2項は賃金全額を請求できると規定しているが、現実に民法上の損害賠償を請求することになると、訴訟手続きの煩わしさや、過失責任の立証の困難さで労働者の保護が不十分となることから、労働基準法において本規定が設けられている。

●労働基準法第26条(休業手当)は、強制法規をもって、平均賃金の60%までを保障しようとする趣旨の規定であって、民法536条2項の規定を排除するものではない(昭22.12.15 基発502)。

●休業手当の支払いを要する「使用者の帰責事由による休業」とは、使用者の経営上・管理上の責任範囲に属することで、不可抗力によるものは含まない。ここ でいう「不可抗力」とは、行政解釈では原因が事業の外部から発生し、かつ事業主が通常の経営者として最大の注意を尽くしても避け得ない事故をいうとされて いる。

●「休業期間中に労働協約、就業規則または労働契約により休日と定められている日がある場合、当該休日については、休業手当の支払義務は生じない」(昭24.3.22 基収4077)。

■関連用語
平均賃金

(あした葉経営労務研究所 代表/株式会社キャリア・ブレーン 認定キャリア・コンサルタント 本田和盛)