直接払いの原則

公開日 2008.12.15 あした葉経営労務研究所

 

●賃金は労働者に直接支払わなければならず、この規定には例外は設けられていない。

●本規定は親方や仲介人が中間搾取(ピンハネ)を行い、親が未成年者の賃金を横取りするといった、前時代的労働関係に存在した悪弊を排除するために定めら れた。また年少者保護規定である労働基準法59条において、未成年者の賃金を親権者が代理受領することを禁止し、直接払いの原則を明確化している。

●労働者の親権者その他の法定代理人に支払うこと、労働者の委任を受けた任意代理人への支払いは本規定違反となる。また、労働者が私的な債権の支払いを第三者に約定し、適法に賃金債権を譲渡した場合であっても、使用者がその第三者に直接賃金を支払うことは違法となる。

●「労働者が病気のため賃金を受取ることが出来ず、代わりに受取りに来た妻に支払うことは適法である」(昭22.12.4 基収4093)。この場合、妻は労働者の使者であり代理人とはみなされない。社会通念上、労働者本人の受領が確実な場合は使者と解される。

■関連用語
中間搾取の排除
未成年者の労働契約
通貨払いの原則
全額払いの原則
毎月払いの原則、一定期日払いの原則

(あした葉経営労務研究所 代表/株式会社キャリア・ブレーン 認定キャリア・コンサルタント 本田和盛)