公開日 2008.12.15 あした葉経営労務研究所
●賃金は一定の例外を除き「通貨」で支払わなければならない。「通貨」とは日本国内において強制通用力のある日本銀行券および貨幣のことをいう。外国通貨は含まれず、また小切手による支払いは、受領した労働者に若干の不便を強いることとなるので認められない。
※通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律・第2条第3項
「通貨とは、貨幣及び日本銀行法の規定により日本銀行が発行する銀行券をいう」
●通貨払いの原則の例外として認められるのは以下のとおりである。
1.法令で別段の定めがある場合
・現在のところ定められている「法令」はない。
2.労働協約で別段の定めがある場合
①自社製品、通勤定期券、住宅の供与などによる支払いが認められる。
②この場合の労働協約は必ずしも過半数労働組合である必要はない。
③労働協約の定めによって通貨以外のもので支払うことが許されるのは、その労働協約の適用を受ける労働者に限られる(昭63.3.14 基発150)。
通貨以外のもので支払われる賃金については、労働協約で評価額を定めておかなければならない
3.厚生労働省令で定める賃金について確実な支払いの方法で厚生労働省令で定めるものによる場合
①使用者は、労働者の同意を得た場合には、賃金の支払について、労働者が指定する銀行、郵便局等の金融機関に対する当該労働者の預金若しくは貯金への振り込み、又は、労働者が指定する証券会社に対する当該労働者の預り金(所定の要件を満たすものに限る)への払い込みによることができる。(労働基準法施行規則第7条の2、第1項)
②使用者は、労働者の同意を得た場合には、退職手当の支払いについて、上記の口座振り込みによることができるほか、銀行振出小切手、銀行支払保証小切手、郵便為替を交付する方法によることができる(労働基準法施行規則第7条の2、第2項)
労働基準法施行規則第7条の2第1項における「指定」とは、労働者が賃金の振り込み対象として銀行その他の金融機関に対する当該労働者本人名義の預金口座を指定するとの意味であって、この指定が行われれば同項の同意が特段の事情のない限り得られているものである(昭63.1.1 基発1)
■関連用語
直接払いの原則
全額払いの原則
毎月払いの原則、一定期日払いの原則
(あした葉経営労務研究所 代表/株式会社キャリア・ブレーン 認定キャリア・コンサルタント 本田和盛)