均等待遇の原則

公開日 2008.10.03 あした葉経営労務研究所

均等待遇の原則(きんとうたいぐうのげんそく)

●国籍、信条、社会的身分といった労働とは直接関係のない理由での不合理な差別待遇を禁止すべきという原則である。

●憲法14条1項(法の下の平等)の、「すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において差別されない」との規定を、労働関係において定めたものとして、労働基準法3条の「均等待遇の原則」がある。

●憲法14条にある「性別」による差別禁止は労働基準法では意識的に除外されている。労働基準法制定時の女性保護の必要性と引き替えに、労働条件における性差別を禁止しなかったためである。ただし、賃金については4条において性差別が明確に禁止されている。現在は、男女雇用機会均等法によって、その他の労働条件に関しても差別的取り扱いが禁止されている。

●3条が禁止するのは、現に労働契約を交わした雇入れ後の一切の待遇についてであり、募集・雇入れ段階で国籍、信条、社会的身分を理由に採用を拒否することは許される。使用者は労働者雇入れの自由を有するからである(三菱樹脂事件 最高裁大法廷 昭48.12.12判決)

●信条とは、特定の宗教的または政治的信念をいう(昭22.9.13 発基17)。

●「その他の労働条件」とは解雇、災害補償、安全衛生、寄宿舎等に関する条件も含む趣旨である(昭23.6.16 基収1365)。

■関連用語
 労働基準法
 労働条件の原則

(あした葉経営労務研究所 代表/株式会社キャリア・ブレーン 認定キャリア・コンサルタント 本田和盛)