保険証代替、10月に延期 マイナカード連携不具合 普及狙うもつまずき

 
 マイナンバーカードを健康保険証として利用できる仕組みの本格運用が、当初予定の3月下旬から10月に延期されることが25日分かった。4日から始まった試験運用で、患者情報が確認できないなどの不具合が相次いで発生。厚生労働省は全国的な運用はできないと判断、スケジュールを見直した。
 政府は2022年度末までに、ほとんどの国民によるカードの取得を目標に掲げている。保険証との一体化で普及に弾みをつける狙いがあったが、当初からつまずいた格好だ。
 厚労省は、6月末までに個人番号が正しく入力されているかどうか確認できるシステムを新たに導入。試験運用を続けながら利用可能な医療機関や薬局を徐々に拡大し、遅くとも10月までに、10万施設で使えるようにする。
 厚労省によると不具合は、マイナンバーと保険証をつなぐシステム上に患者の情報が正しく入力されていなかったことが原因という。患者が自分の個人番号を、加入する健康保険組合や共済組合などに伝えていないといった理由で、約180万人がシステムに登録できていなかった。組合が個人番号を誤入力していたケースもあった。
 厚労省によると、全国の医療機関と薬局約23万カ所のうち、マイナンバーカードを保険証代わりに使えるのは23日時点で24都道府県54カ所にとどまる。マイナンバーカードの交付数は21日時点で3491万枚だが、保険証としての利用申し込みは311万件で8・9%にとどまっている。
(共同通信社)