手当改廃の具体的な検討手順と制度設計のポイント
配偶者手当は、“家事・育児に専念する妻と仕事に専念する夫” といった夫婦間の性別役割分業が一般的であった高度経済成長期に定着したとされる。しかし、女性の結婚・出産後の継続就業が一般化し、社会やライフスタイルも大きく変容する中、配偶者手当の支給を見直す企業は増加傾向にある。厚生労働省も、パート労働者などが就業調整を行う、いわゆる「年収の壁」への対策の一つとして、企業における「配偶者手当への対応」を掲げている。これは、配偶者の収入が一定額以下であるという条件下で配偶者手当が支給される場合、労働者側で手当受給のために就業調整がなされるケースが多いことを踏まえ、年収の壁を意識せずに働くことのできる環境整備を促すものだ。
このように、配偶者手当をめぐる状況は大きな過渡期にあるといえ、これから見直しを進める企業も多いと思われる。そこで本記事では、配偶者手当の見直しの手順や、制度設計のポイント、賃金水準の検討方法などについて、三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社の熊井秀臣氏に解説いただいた。

くまい ひでおみ
三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社
組織人事ビジネスユニット HR第1部 シニアマネージャー