コロナ労災、保険料に特例 事業者増額から除外 厚労省、医療機関の負担減 感染防止困難理由に


 厚生労働省が、新型コロナウイルス感染の労働災害について、事業者の労災保険料の負担を軽減する特例措置を設ける方針であることが26日、分かった。現行制度では、労災を多発させた事業者の保険料を増やす仕組みだが、コロナ感染は対策を取っても防ぐことが難しいため、増額の対象から除外する。
 厚労省によると、コロナ関連の労災件数が多い医療機関や高齢者施設の負担を軽くするのが狙い。26日午後に開かれる厚労相の諮問機関、労働政策審議会での議論を受け、正式決定する方針。2011年の東日本大震災での労災でも同様の措置が取られており、今回が2回目となる。
 労災保険料は事業者の全額負担で、労働者が仕事や通勤の際、けがや病気となった場合に治療費や入院費などを支給する。労災防止の取り組みを進めるため、業種ごとに決められた保険料率を基に、労災事故の件数に応じて最大で40%増減する仕組みになっている。
 22年度の保険料率は18~20年度が算定対象期間。コロナ関連の労災が多かった医療機関などは、感染が拡大した20年度の保険料が増える恐れがあった。政府は医療機関などに緊急事態宣言中も事業継続を要請しており、労災件数の増加によってさらなる負担を求めることがないよう特例措置を決めた。
 コロナ関連の労災給付件数は今年10月末時点で、1万6150件に上る。20年度の給付件数は6457件で、約20億円が支給された。このうち、医療、介護関係の業種が8割超だった。
 コロナ感染による労災を巡っては、厚労省は昨年4月、医療、介護従事者について「感染経路が特定されなくても原則対象となる」との通達を出し、労災認定されやすいようにしている。
(共同通信社)