書面義務化の対象拡大 フリーランス保護強化


 政府が組織に所属しないフリーランスで働く人を保護するため、事業者が業務を発注する際の契約ルールを強化することが11日、分かった。報酬額などを記載した書面の交付を義務付ける対象について、資本金1千万円以下の事業者にも拡大する方針だ。報酬未払いを含めトラブルが相次いでおり、早ければ来年の通常国会で関連法案を提出する方向だ。
 下請法は、下請けいじめを防ぎ、発注側と受注側の取引適正化を図る法律だ。資本金1千万円超の事業者が一定の業務を委託する場合、個人が相手でも適用される。
 契約書などの書面を交付しなければ、事業者は発注後に取引条件を変更しやすくなり、フリーランスが不利益を押しつけられる恐れがある。このため政府は、書面交付の義務化の対象に、資本金1千万円以下の事業者も加えるといった対応が必要だと判断した。
 現在、公正取引委員会などがフリーランスの実態を把握するため、アンケートを実施している。この結果を踏まえ、関係省庁が具体化に向け協議を進める。政府内には下請法を改正するか、新法を制定する案がある。
 新型コロナウイルスの流行を受け、インターネットを通じた食事宅配サービスの配達員やITエンジニアの副業など、企業に所属しない新たな働き方が広がっている。政府はフリーランスの保護強化を昨年や今年の成長戦略に掲げている。
(共同通信社)