第6回 給与明細にある○○控除って、なんですか?

給料って何?どのように支払われるの?

イラスト1 給料、給与、賃金、報酬、手当…等々、会社から支払われる「給料」を表す言葉はさまざまですね。

第3話でも取り上げたように 、給料(賃金)とは、働いたことの対価として、会社から支払われるものを言います。そして会社は、①通貨で、②直接本人に、③その全額を、④毎月1回以上、⑤一定の期日に支払わなければならない、という五つのルール(賃金支払いの5原則)に基づいて、社員に給料を支払わなければなりません。

会社が社員に給料を支払うときは、その全額を支払わなければならないことになっていますが、「法令に定めがある場合」や「労使協定を結んだ場合」には、例外として、その分を差し引いて支払うことが認められています。

岡本君の給与明細で「いろいろ引かれているもの」は、どうやらこの部分に関係がありそうです。

さらにくわしく... 給料の内容については、まず会社に採用が決まった時点で、基本給やその他の手当の金額、交通費の有無、残業した場合の残業代の計算方法、給料日がいつなのか等について、会社から通知されます。
その後、昇給等によって給料の額が変われば、その都度、給与辞令等で知らされることになります。

これらの内容は、就業規則や賃金規程等に必ず記載されているはずですので、確認してみましょう。

給料から控除できるのはどのようなもの ?

イラスト1 「全額払い」の例外として、給料から控除して支払うことができるものは、次のとおりです。
①法令に定めがある場合 →源泉所得税や住民税、雇用保険料、健康保険料や介護保険料、厚生年金保険料といった社会保険料等
②会社と社員代表との間で協定(労使協定)を結んでいる場合 →会社の親睦会費や社宅の賃貸料等

①についてはまず、その月の給料の総額から社会保険料を控除し、その控除後の金額に対して所得税がかかります(これを源泉徴収といい、その金額は、扶養親族の数によって異なります)。
一方、住民税は前年の所得金額に応じて決まります。こうして、これらの金額を毎月、給料から控除します。 一度、自分の給与明細から控除されているものが、上記のどれに該当するか確認してみましょう。

さらにくわしく... ところで、「学生時代のバイト代からは、確か何も引かれていなかったけれど…?」と思い出している方もいるはず。これは、雇用保険や健康保険、厚生年金保険などの社会保険に入っていなかったため、社会保険料が引かれていなかったこと、そして、給料の金額が少ないと、源泉所得税や住民税も掛からないことになっているため、何も引かれずに給料が支払われていたのです。

一方、1年間の所得税の金額は、バリバリ働いて年収が2000万円を超えた場合、給料から控除されたままでなく、自分で税務署に確定申告をすることが必要になります。

毎月の社会保険料って、いくらくらい?どのくらい引かれてるの?

イラスト3 雇用保険料は、毎月の給料の総額に決まった雇用保険率を掛けて計算します。 社会保険料については、雇用保険料と違って毎月の給料額をもとにするのではなく、本人の標準的な1カ月の給料額(標準報酬月額)を、あらかじめ決めておき、その金額に保険料率を掛けて計算します。

社会保険料は、会社が健康保険組合に加入しているか否か、加入していない場合は会社の所在地がどこの都道府県にあるのか等で異なるため、健康保険組合や厚生年金基金に会社が属していないことを前提に、ごくごく一般的な場合を試しに計算しますと…。

例えば、月給20万円の場合は、雇用保険料が約1000円、健康保険料が約1万円、厚生年金保険料が約1万6500円となり、社会保険料の合計は、2万7500円ほどです。この社会保険料を控除した残りの金額(約17万2500円)から源泉所得税が引かれます。
ちなみに、扶養親族がいない場合の源泉所得税は約3700円ですので、差引額は16万8800円程度、さらに前年の所得金額によって決まっている住民税の分等が控除されて手取り額になる、というわけです。

さらにくわしく... 社会保険料は会社と折半負担が原則ですから、給与明細から控除されている金額と同額を、会社も負担していることになります。健康保険組合や厚生年金基金に加入している場合は、会社負担分のほうが多いこともあります。また、皆さんの給料からは控除されていませんが、会社はこの他に、労災保険の保険料も負担し、支払っているのです。

会社の保険料の率と、ご自分の標準報酬月額が分かると保険料額の計算ができますので、会社に聞いてみるとよいでしょう。

監修者プロフィール プロフィール写真
望月 由佳(もちづき ゆか)
特定社会保険労務士 社会保険労務士 望月由佳事務所 代表
平成2年10月 社会保険労務士資格取得
平成7年9月 社会保険労務士望月由佳事務所設立
労働保険・社会保険関係業務全般の手続き業務やコンサルティング業務のほか、研修会・講習会での講師も務める。
著書・執筆『労務・社会保険コンパクトブック』(TAC出版)、『年金ミラクルガイド』(同、共著)、「ビジネスガイド」、開業社会保険労務士専門誌「SR」、社会保険労務士受験雑誌「社労士V」(以上、日本法令)ほか

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