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採用担当者のための最新情報&実務チェックポイント [2021.07.09]

2021年7月


ProFuture株式会社/HR総研
代表 寺澤康介
(調査・編集: 主任研究員 松岡 仁)

 ProFuture代表の寺澤です。
 7月2日に発表された産業能率大学 総合研究所の「2021年度 新入社員の会社生活調査」によれば、今春の新入社員に就職活動を振り返ってもらったところ、「かなり大変だった」32.6%、「思ったより大変だった」51.4%で、これを合計した「大変だった」の84.0%は、これまで最高だった就職氷河期の1995年度(76.8%)をも大きく超えて過去最高だったとのことです。
 大卒求人倍率(リクルートワークス研究所)は、バブル末期の1991年卒に2.86倍を記録した後、翌年から毎年求人数の大幅減少を受けて、1995年卒ではたった4年間で1.20倍まで落ち込む事態となりました。求人倍率だけを見れば、翌年の1996年卒は1.08倍まで低下し、翌1997~1998年はいったん回復傾向になったものの1999年から再び下降しはじめ、2000年卒で記録した0.99倍が過去最低の数字となっています。ただし、就職氷河期という言葉自体が定着していたからか、新入社員の感想では「大変だった」の割合が1995年卒を超えることはありませんでした。
 2021年卒の求人倍率は1.53倍ですから、1995年当時よりも数字上は学生優位だったわけです。それでも「大変だった」との感想を持つ学生がこれだけ多かった理由について、本調査では「合同会社説明会などの中止や延期が相次いだ」(54.9%)や「就職活動をする他の学生の動向が分かりにくかった」(50.7%)などとなっていますが、その根底にあるのは数字には表れてこない、「就職活動のやり方自体が大きく変化したこと」「過去の先輩の情報がほとんど参考にならなくなったこと」だと思います。
 この後、今回紹介する採用担当者の感想もこれに近いものがありそうです。本編に入ります。

オンライン化が採用条件にも変化を

 今回は、HR総研が2021年6月7~14日に、企業の採用担当者を対象に実施した「2022年&2023年新卒採用動向調査」の結果の中から、2022年卒採用の現状について紹介します。
 まずは、事業や採用活動を取り巻く環境が激しく変化する中で、ターゲット層となる学生の条件がここ数年で変化してきているかどうかを聞いてみた結果からです。全体では、「変化していない」(「全く変化していない」と「あまり変化していない」の合計、以下同じ)が45%、「変化している」(「大きく変化している」と「やや変化している」の合計、以下同じ)24%と、「変化していない」とする企業のほうが大きく上回っています[図表1]

[図表1]ターゲット層の変化

資料出所:HR総研「2022年&2023年新卒採用動向調査」
(2021年6月。[図表8~9]を除き、以下図表も同じ)

 ただし、従業員規模別に見ると、1001名以上の大企業では「変化していない」は34%なのに対して、「変化している」が29%とそれほど大きな開きはありません。一方、301~1000名の中堅企業では、「変化している」は大企業と同じく29%であるものの、「変化していない」が52%と半数を超えています。
 では、「変化している企業」には、どんな理由で変化が起きているのでしょうか。フリーコメントから幾つかご紹介します。

・生まれたときからデジタルデバイスがあり、情報にアクセスがしやすい環境が整っていたなど、学生が育ってきた環境が以前と大きく変わっていることに加え、キャリア教育が大学でも行われたり、終身雇用制度が継続できなくなっていたりするなど、就業に対する意識も変化しているため(1001名以上、食品)

・オンライン採用が主流になり、地方学生をターゲットに入れることができたため(1001名以上、情報処理・ソフトウェア)

・webを活用できる環境が整ったため、地元学生採用から全国採用へシフト(301~1000名、その他メーカー)

・より即戦力として使える人材が求められているため(301~1000名、機械)

・就職状況が厳しい中で、これまで当社には来なかった層からの応募がある(300名以下、食品)

・従来、電気・機械系の学生に絞っていたが、採用が難しくなってきたため(300名以下、電子)

大企業でも4割は「個別採用」を導入

 次に、就職ナビや合同企業説明会等を通じて大量の採用母集団を形成し、エントリーシートや適性検査、面接選考等を通して一括して絞り込んでいく「マス型採用」と、ダイレクトソーシングやインターンシップで目立った学生などを一本釣りしていく「個別採用」のウエートを聞いてみた結果が[図表2]です。

[図表2]マス型採用と個別採用の比率

 採用人数の多い大企業では、「マス型採用に注力した」が60%にも達していますが、中堅企業では42%、300名以下の中小企業では32%と、その割合は企業規模が小さくなるにつれて低下していきます。一方、「個別採用に注力した」は、中小企業では40%にも及びますが、中堅企業と大企業はそれぞれ6%、9%と割合はそれほど高くはありません。
 採用人数の少ない中小企業では、大きな母集団を形成する必要もなく、「個別採用」のほうがかえって効率的なのでしょう。ただ、見方を変えれば、大企業でも「マス型採用に注力」する企業は6割に過ぎず、残りの4割はなにがしかの「個別採用」を取り入れているということです。採用しづらい職種や、極めて能力・スキルが高いと判断した場合には、「個別採用」も併用していかないと、「マス型採用」だけでは採りきれないということなのでしょう。
 具体的な内容についても見てみましょう。

・インターンシップに参加した学生のうち、優秀な学生に対して個別に接触をし、早期選考の案内を行った(1001名以上、食品)

・逆求人型就職サイトを活用した。会ってから決める運用(1001名以上、情報処理・ソフトウェア)

・大学内に限らず、自社HPでは通年で募集を行っていますので、基準に合致すれば採用する場合もあります(301~1000名、医薬品)

・説明会は基本個別対応(301~1000名、住宅・インテリア)

・実際に話してみないと分からないことが多く、型にはまった就活ノウハウを大学のキャリアセンター等で教示されてしまっている。自社の採用者を見極めるというスタンスより、若者の理解、納得のいく就職をしてほしいという意識で関わっている(300名以下、コンサル)

・半年以上インターン生として働いている方は、インターン期間の成果も考慮した採用を行っている(300名以下、医療・福祉関連)

オンライン化対応できていない企業は大きく減少

 今度は、企業ごとの会社説明会やセミナーの開催形態について見てみましょう。新型コロナウイルス感染症対策として急速に普及したオンライン説明会ですが、昨年はすぐに対応できた企業とできなかった企業の二極化が見られました。今年はどうだったのでしょうか。
 全体では、最も多かったのは「オンラインのみ実施した」の38%、続いて「(オンラインと対面型の)いずれも実施した」が22%、「対面型のみ実施した」が10%となりました[図表3]。「いずれも実施していない」(19%)には、オンライン対応ができていないという企業だけでなく、採用活動自体を実施しなかった、あるいは「個別採用」に注力した採用手法を採ったがために、説明会自体を実施せずに個別面談からスタートした企業も含まれるものと思われます。

[図表3]説明会・セミナーの開催形態

 従業員規模別に見ると、大企業と中堅企業では「オンラインのみ実施した」がそれぞれ54%、50%と半数を超えています。これに対して、中小企業では24%とその半分以下となっています。中小企業では、採用人数が少ないために、1回当たりの会社説明会参加人数もそれほど多くなく、密になることなく対面型の説明会が実施できたということなのでしょう。
 中小企業では、「いずれも実施した」が29%で最も多くなっています。「対面型のみ実施した」割合は中小企業でも14%にとどまり、参加人数を考えてオンライン化対応の必要性を感じなかった企業もあることを考えれば、ネット環境の不備やノウハウ不足を理由としてオンライン化対応ができなかった例は、この一年で大きく減少したと推測されます。

中小企業は対面型説明会を支持

 続いて、「いずれも実施した」企業を対象に、オンラインと対面型の開催形態でどちらがより有効と感じたかを聞いた結果が[図表4]です。

[図表4]有効な説明会・セミナー形式

 「オンライン型」のほうが有効だと感じた企業は、従業員規模に関係なく8~17%と少数派となっていますが、もう一方の「対面型」のほうが有効だと感じている割合は、従業員規模によって大きく異なります。大企業と中堅企業では、「対面型」を推す声は3割程度で、残りの6割前後は「同程度」としており、どちらが有効とは言い切れないとしているのに対して、中小企業では逆に56%と6割近くが「対面型」を推し、「同程度」は32%にとどまります。
 前項で、オンライン化対応の二極化は解消されたと述べましたが、昨年オンライン化対応ができず、今年初めてオンライン化対応をした企業の割合が多い中小企業では、なんとかオンラインで開催してはみたものの、蓄積されたノウハウがあるわけではなく、運営については一苦労あった企業が多いのかもしれませんね。

最終面接までオンラインで完結企業は減少

 今度は「面接」についてです。6月前半の段階での採用活動(面接)の状況を聞いてみたところ、「面接選考は終了した」(「オンライン利用あり」と「オンライン利用なし」の合計)企業は、最も少ない中堅企業で12%、最も多い大企業でも17%と、従業員規模による差異はそれほどありませんでした[図表5]

[図表5]現在の面接形態

 また、「オンライン面接のほか、対面での面接も実施している」割合は、大企業で46%、中堅企業で58%、中小企業で40%と、従業員規模による差異はありながらも、それぞれの企業群の中では断トツで割合が多くなっています。「オンライン面接のみを実施している」は大企業で34%、中堅企業で23%、中小企業で19%と、従業員規模が大きいほど、その割合が多くなっています。逆に、「対面での面接のみを実施している」割合は、大企業で3%。中堅企業で8%、中小企業では26%と従業員規模が小さいほど、その割合が多くなっています。
 「オンライン面接のほか、対面での面接も実施している」が、従業員規模を問わず最も多くなっていることにより、昨年はすべての面接をオンラインで完結させた企業が多かった大企業においても、今年は対応が大きく変わっていることが見て取れます。会社説明会やセミナーについては、その有効性をオンラインも対面型も「同程度」としていた大企業も、こと面接については事情が異なるようです。
 そこで、オンライン面接を導入している企業を対象に、最終面接の実施形態を確認してみました。大企業では、45%と半数近い企業が今年も「全員、オンライン面接のみで実施」しているものの、「対面型とオンライン型を選択しながら実施」している企業が39%と4割近くあり、さらに3%と少数派ではあるものの「全員、対面型の面接のみで実施」している企業もあります[図表6]

[図表6]オンライン面接導入企業における最終面接の形態

 昨年、最終面接まですべてオンラインで実施した企業の中には、「学生の動機形成が十分にできない」「オンラインでの見極めでは、言語情報だけが頼りとなり、情報が足らない」「学生にも不安が残る」などの反省が挙がっており、その対策として「対面型」を併用する企業が多くなったものと思われます。
 なお、中堅企業と中小企業では、「全員、オンライン面接のみで実施」している割合は、23%、20%と、大企業の半分程度にとどまり、対面型の面接を採り入れている割合のほうが圧倒的に多くなっています。

応募が増える反面、グリップが弱くなるとの懸念も

 オンライン面接を実施している企業を対象に、オンライン面接の長所と短所をフリーコメントで回答してもらいましたので、それぞれ抜粋して紹介します。「遠方学生の応募の増加」や「スケジュール調整が容易」などの長所がある反面、「通信環境のトラブル」や「雰囲気をつかみづらい」などの短所もどうしても付きまとうようです。

■オンライン面接の長所

・遠方の学生にも負担をかけずに選考できる。会社としても出張費が大いに削減された(1001名以上、百貨店・ストア・専門店)

・面接官の日程調整等が効率化できた(1001名以上、人材サービス)

・学生の予約を取りやすい(1001名以上、情報サービス)

・日程の設定が容易になった。学生が参加しやすくなった(1001名以上、百貨店・ストア・専門店)

・コロナ禍であるため、今、オンラインを全く実施していないということも学生に悪い印象を与えると思われる(301~1000名、輸送機器・自動車)

・発言内容に集中できたこと(301~1000名、医療・福祉関連)

・経費の削減、ペーパーレスの推進(301~1000名、食品)

・応募者を獲得しやすい、広域の学生から応募が増える(301~1000名、情報処理・ソフトウェア)

・学生が対面よりリラックスして面接に臨んでいる印象を受ける(301~1000名、その他メーカー)

・今後主流になるであろう対面以外のコミュニケーションスキルや、IT活用スキルを確認できる(300名以下、コンサル)

・面接内容を録画できる(300名以下、その他メーカー)

■オンライン面接の短所

・細かいニュアンスや表情の変化が伝わりづらく、本音が見えにくい(1001名以上、旅行・ホテル)

・対面に比べてグリップが弱い(1001名以上、情報処理・ソフトウェア)

・体格や立ち居振る舞いのように、画面越しだと分からない部分がどうしてもある(1001名以上、百貨店・ストア・専門店)

・限られた時間内での意思疎通(1001名以上、電機)

・オンライン面接で評価の高い学生が対面では全くレベルが高くないなど、見極めが全くできていないことがあった(1001名以上、食品)

・回線トラブルが発生する可能性がある(1001名以上、情報サービス)

・学生の入社意欲の醸成が困難(301~1000名、食品)

・集団面接となると、全員の通信環境が整わないと面接にならない(301~1000名、商社)

・学生が内定承諾後の就活を続けやすい傾向にあった(301~1000名、住宅・インテリア)

・対面よりもどうしても空気感が読みにくく、学生の印象をつかみづらい(301~1000名、その他メーカー)

・ざっくばらんな会話がしづらい(300名以下、情報処理・ソフトウェア)

・待合室での様子など、面接前後の様子を観察できない(300名以下、情報処理・ソフトウェア)

・リアルでの学生が放つ人間性が伝わらない。学生に会社の立地や雰囲気を伝えられない(300名以下、その他メーカー)

大企業とそれ以外で内定充足率に明暗

 ここからは内々定に関する調査結果を見ていきましょう。まずは、6月前半時点での内定充足率(採用計画数に対する有効内々定者数の割合)です。全体では、「0%(内々定者ゼロ)」26%、「80%以上」(「80~100%未満」から「120%以上」の合計、以下同じ)28%となっています[図表7]

[図表7]6月前半での内定充足率

 ただし、従業員規模別に見ると、「0%」は大企業6%、中堅企業15%、中小企業では実に41%と、従業員規模が小さくなるほど、極めて厳しい現状が見て取れます。同様に「80%以上」の割合も、大企業では46%と半数近くに達しているのに対して、中堅企業29%、中小企業に至っては22%と大企業の半分以下となっています。
 参考までに、比較対象として2020年卒[図表8]と2021年卒[図表9]の同時期調査の結果データも再掲しておきます。

[図表8]6月前半での内定充足率(2020年卒)

資料出所:HR総研「2020年卒&2021年卒採用動向調査」(2019年6月)

[図表9]6月前半での内定充足率(2021年卒)

資料出所:HR総研「2021年卒&2022年卒採用動向調査」(2020年6月)

 2021年卒の採用戦線では、新型コロナウイルス感染症問題が、採用活動が本格化する直前の2020年1月に日本でも騒がれ始め、2~3月には合同企業説明会が急きょ中止となったほか、各企業も従来の対面型の説明会や面接について未経験のオンライン化対応を迫られるなど、企業・学生双方に大きな混乱が生じました。それにより、それまでは前年よりも速いペースで進捗していた採用活動に大きくブレーキがかかる結果となり、6月の調査段階では逆に前年よりも大幅に遅れた進捗結果となったわけです。具体的な数値で見てみましょう。
 2020年卒では「0%」と回答した企業は、大企業で10%、中小企業でも32%でした。ところが、2021年卒のデータを見ると、大企業でも18%と8ポイント増え、中小企業に至っては53%と21ポイントも増加しています。これとは対照的に「80%以上」を見てみると、2020年卒では、大企業で44%、中小企業でも32%もあったところが、2021年卒では大企業で38%と6ポイント減少し、中小企業で20%と12ポイントも減少しています。
 今年の内定充足率は、大企業では2020年卒をわずかに上回るペースで進行しているのに対して、中堅・中小企業は2020年卒よりもかなり下回っています。大企業とそれ以外の企業との間で二極化が進行している模様です。

大企業でも内定者の半数がインターンシップ参加者である企業が2割に

 次に、既に内々定者がいる企業で、かつインターンシップを実施した企業だけを対象にして、内々定者に占めるインターンシップ参加者の割合を確認してみました。ここでは、インターンシップから選考を進めたかどうかは関係なく、インターンシップと切り離した選考を展開した企業でも、あくまでも結果として、内々定者のうちインターンシップ参加実績者がどれだけいるかの割合になります。
 全体では、「0%(参加者からはゼロ)」という企業は9%のみ、つまり、残り91%は少なくとも内々定者の中にインターンシップ参加者が最低1人はいるということです[図表10]

[図表10]内定者に占めるインターンシップ参加者の割合

 従業員規模別に見ると、「0%」が中小企業では21%もあるものの、中堅企業ではわずか3%、大企業に至ってはゼロです。大企業では採用人数も多いこともあり、「100%」はおろか、「60%以上」(「60~80%未満」から「100%」の合計)ですら皆無となっておりますが、「40~60%」、つまり内々定者の半数前後をインターンシップ参加者が占める企業の割合は、2割(19%)にも及びます。
 企業規模が小さくなると、内々定者に占めるインターンシップ参加者の割合は高くなる傾向があります。例えば、中堅企業では「80~100%未満」が6%あるほか、中小企業では「100%」が1割近く(9%)もあります。「40~60%」以上の割合は、中堅企業は36%、中小企業では44%と4割前後にも及び、大企業の2倍前後にもなっています。採用活動におけるインターンシップの有効性を実感できる数字と言えるでしょう。

内定充足率は改善するも、楽にはならず

 次に、2022年卒採用の活動終了時期の見込みについて、2021年卒採用と比較してもらったところ、結果は意外なものとなりました。
 前述したように、2021年卒採用は、想定していなかった新型コロナウイルス感染症対策の影響で、2020年卒採用と比較すると途中から大きくスケジュールが遅れ、2022年卒向けインターンシップの開催時期にまで影響を及ぼすことになりました。それに対して2022年卒採用では、新型コロナは事前に想定していたためオンライン対応も最初からスムーズに進行し、就職ナビ各社が発表する月次の内定率速報の数値は昨年を上回るペースで進行しています。
 今回の調査でも、内定充足率は昨年を上回るペースで進行していることが分かっています。さらに、大企業に限れば、[図表7]で見たように、2021年卒どころか2020年卒をも上回るペースで進行しています。そのため、企業規模を問わず、「(前年よりも)早まる」企業が多くなり、「遅延する」企業は少なくなるものと予想していたのです。
 ところが結果は、「昨年と同様」とする企業がいずれの従業員規模でも76~86%と大半を占め、「早まる」と回答した企業は「遅延する」と回答した企業よりも少なくなっています。大企業ですら、「遅延する」が9%なのに対して「早まる」は6%です[図表11]

[図表11]2022年卒採用活動終了時期の対前年比

 この現象を紐解く鍵は、次の「前年と比較した2022年卒採用活動の感想」と、その理由コメントにあります。まずは、2022年卒採用活動の感想を見てみましょう[図表12]

[図表12]2022年卒採用活動の感想

 全体では、「かなり大変になった」6%、「やや大変になった」24%と合わせて3割の企業が2021卒採用よりも「大変になった」と感じています。「やや楽になった」は6%にとどまるとともに、「かなり楽になった」に至っては皆無でした。コロナ禍での採用活動も2年目を迎え、企業も学生もオンライン化には慣れたものの、決してそれが「楽になった」にはつながっていないということです。中堅企業に至っては、「大変になった」と感じている企業は46%と半数近くに及んでいます。
 では、「大変になった」理由はなんだったのでしょうか。フリーコメントを抜粋して紹介します。

・不気に拍車がかかり応募者が減った(1001名以上、フードサービス)

・他社の選考時期が早まったことにより、相対的に選考が遅れた(1001名以上、食品)

・入社後のミスマッチを減らすべく、オンラインで会社の概要や職場の人間関係などを伝える点(1001名以上、エネルギー)

・辞退が増えた(情報処理・ソフトウェア)

・応募期間が間延びしているため(301~1000名、食品)

・すべてwebでの選考になったため、フォローを手厚くしないといけない(301~1000名、商社)

・学生の決断時期が延びた(301~1000名、商社)

・オンライン化で、一次選考の合格率が大幅に低くなっており、取りあえず選考を受けてみるという学生が増えている印象(301~1000名、情報処理・ソフトウェア)

・選考応募が昨年に比べかなり増え、その分選考する学生数も大幅に増えたため、選考日程の調整や時間増に伴う協力体制構築は大変だった(301~1000名、情報処理・ソフトウェア)

・リモートが最初から学生に定着しており、応募企業が多いために辞退率が高まった(301~1000名、通信販売)

・コロナ禍で採用媒体にあおられる形で早期化が進んだ(301~1000名、輸送機器・自動車)

・知名度が低いことからオンライン合同説明会では集客数が伸ばせなかった(300名以下、鉄鋼・金属)

・コロナ禍でも技術系採用には変化がなく、むしろ求人数が増えている企業もあり、例年以上に激戦である(300名以下、鉄鋼・金属)

・リモート勤務の社員が多く、インターンに参加する学生の対応をするメンバーに限りがあった(300名以下、不動産)

・コロナの影響で予定が立てづらく、スタートが遅くなってしまったため(300名以下、医療・福祉関連)

 オンライン化により応募者が増えること自体はうれしい反面、その後の面接設定で負担が増えた企業、選考早期化の波に乗れなかった企業、内定辞退率のアップに振り回される企業、激戦が続くエンジニア採用に苦戦する企業、会社がテレワークを推進する中で、対面で学生対応ができる社員が限られた企業など、さまざまな局面で採用活動に苦労する採用担当者の姿が浮かびます。学生の内定率や、企業の内定充足率といった表向きの数字には表れない裏側がここにあります。
 次回は、毎年恒例の採用・就活川柳と、既に始まっている2023年卒採用に向けた動きを追いかけます。

寺澤 康介 てらざわ こうすけ
ProFuture株式会社 代表取締役/HR総研 所長
86年慶應義塾大学文学部卒業、文化放送ブレーンに入社。営業部長、企画制作部長などを歴任。2001年文化放送キャリアパートナーズを共同設立。07年採用プロドットコム(ProFuture)を設立、代表取締役に就任。約25年間、大企業から中堅・中小企業まで幅広く採用コンサルティングを行ってきた経験を持つ。
著書に『みんなで変える日本の新卒採用・就職』(HRプロ)。
http://www.hrpro.co.jp/

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