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採用担当者のための最新情報&実務チェックポイント [2018.12.04]

2018年12月


ProFuture株式会社/HR総研
代表 寺澤康介
(調査・編集: 主席研究員 松岡 仁)

 ProFuture代表の寺澤です。
 早いもので今年もあと1カ月を切りました。新卒採用においては、3年生の夏からのインターンシップが完全に採用活動の1ステップとなったことから、採用担当者は2年分の採用活動を並行して走らせなくてはならないなど、今年も大変忙しい一年を送られたことでしょう。本当にお疲れさまでした。もっとも、今現在も年明けからのウィンターインターシップの準備で忙しくされている企業も多いと思いますが…。
 さて、経団連が会員企業1376社を対象に実施した「2018年度 新卒採用に関するアンケート調査」(調査時期:2018年7月20日~9月7日、回答企業:597社)の結果を11月22日に発表していますので、そちらのデータを最初に少し見てみましょう。

経団連会員企業ですら採用計画未達企業がさらに増加

 採用計画の達成状況の設問で、2019年4月入社対象について「計画に届かない」とする企業が33.0%と、昨年(2018年入社)の30.7%から2.3ポイントの増加となっています[図表1]。一昨年(2017年入社)の調査では24.5%だったことを考えれば、この2年間で8.5ポイントも増加していることになります。「計画より多い」は一昨年の15.0%から昨年は11.6%へ、さらに今回の調査では9.8%へと2年間で5.2ポイントの減少となっています。

[図表1]採用計画の達成状況

資料出所:日本経済団体連盟「2018年度 新卒採用に関するアンケート調査」([図表2~3]も同じ)

 また、前年と比較した採用選考活動の状況の変化を聞いた設問でも、「自社の企業説明会に来る学生数が減少した」「合同説明会に参加する学生数が減少した」が「あてはまる」企業はいずれも49.9%と半数に達しています[図表2]。前年の調査ではそれぞれ39.3%、37.9%でしたからいずれも10ポイント以上増加していることになります。「内々定を辞退する学生が増加した」が「あてはまる」企業も39.1%と、昨年と同様に4割近くにも及びます[図表3]。新卒採用の求人倍率が高まる中でも「採用強者」と思われがちな経団連会員企業ですら、決して楽な採用活動を展開している企業ばかりではなく、採用に苦戦している企業が多いことが伺えます。

[図表2]前年と比較した採用選考活動の状況の変化(広報活動)

[図表3]前年と比較した採用選考活動の状況の変化(選考活動)

就活ルール廃止でもインターンシップは残る

 ここからは、HR総研が6月末に「楽天みん就」会員を対象に実施した「2019年卒学生 就職活動動向調査」の結果から、プレエントリーから内定までの各ステップの傾向について、振り返ってみたいと思います。

※「楽天みん就」会員は、早期から就職活動を開始する意識の高い学生の割合が多いため、他の就職ナビ発表の調査結果のデータよりも進捗率が高めに出る傾向がありますのでご注意ください。また、理系学生の就職活動では、ご存じのように推薦制度による応募が少なからずあり、自由応募学生のデータと混在すると傾向が分かりづらくなるため、今回取り上げるデータはすべて文系学生のみとしています。

 経年変化を見ていただけるよう、2019年卒と2018年卒の比較だけでなく、2017年卒も含めた3年間の同時期調査のデータでご紹介します。まずは、プレエントリー社数の変化です[図表4]

[図表4]プレエントリー社数の3年比較(文系)

資料出所:HR総研/ProFuture「2019年卒学生 就職活動動向調査」(以下図表も同じ)

 「40社以下」にプレエントリーした学生の割合は増加し、「41社以上」にプレエントリーした学生の割合はすべての区分で減少しています。「1~20社」の区分では、2017年卒と2018年卒の比較では2018年卒の割合が若干減少しているものの、その分を「21~40社」の区分で吸収していると言えます。こう見てみると、ものの見事にプレエントリー社数が毎年減少傾向にあることが分かります。2017年卒と2019年卒との比較では、「40社以下」の割合は54%→72%と18ポイントも増加しています。逆に、「81社以上」という活動量の多い学生の割合は17%→5%へと12ポイントも減少しています。学生から企業へのプレエントリー社数の総量は、この2年間でかなり減少していることになります。

多数企業のセミナー参加学生が激減

 次に、個別の企業が開催するセミナーや会社説明会への参加社数の推移を見てみましょう[図表5]。プレエントリー数と違って、社数が多い区分が軒並み減少しているわけではないことが特徴です。「15~19社」「20~24社」「25~29社」の区分を見てみると、3年間での変化はそれほどあるわけではありません。ただし、「30社以上」の割合だけは、2017年卒:17%→2018年卒:14%→2019年卒:8%と、2年間で半分以下にまで激減しています。

[図表5]個別企業セミナー・説明会参加社数の3年比較(文系)

 逆に、「14社以下」の区分はほぼすべてで毎年増加しており、「14社以下」の合計で経年推移を見てみると、2017年卒:48%→2018年卒:51%→2019年卒:57%と10ポイント近くの増加となっています。「30社以上」という活動量の多い学生の割合が減少し、「14社以下」の比較的活動量の少ない学生割合が増加したということになります。

他の就職ステップと傾向が異なる面接社数

 次に、面接を受けた社数の経年比較を見てみると、面白い傾向が現れています[図表6]。大きく変化が見られるのは、「4~6社」の割合が毎年減少していることくらいで、その他の区分ではそれほど大きな変化が見られません。「15~19社」の区分では、2017年卒から2018年卒にかけて2ポイントの増加がありましたが、逆に2018年卒から2019年卒にかけて2ポイントの減少があり、ちょうど2年前の数字に並んでいます。2017年卒と2019年卒のデータを比較してみると、「4~6社」で5ポイントの減少が見られる以外、その他の区分での差異は2ポイント未満に収まっているのです。これはどう考えればよいのでしょうか。

[図表6]面接社数の3年比較(文系)

 結論から言えば、プレエントリー社数や個別セミナー・会社説明会の参加社数から見ると、確かに学生の活動量は減っていますが、面接した社数(応募した社数)については減少しているとは言えないということです。つまり、「プレエントリー」や「個別セミナー・会社説明会」といったこれまでの就職ステップを経ることなく、いきなり「面接」からスタートする学生が増えているということです。
 では、どこから「面接」にたどり着いているのでしょうか。考えられる主なルートは二つあります。一つは、「インターンシップ」です。参加者には「早期選考会・面接」の案内がされています。「インターンシップ」が「セミナー」の役割を果たしてしまっているというわけです。そしてもう一つは、「リファラル採用」や「逆求人型サイト」のダイレクトソーシングの活用です。ダイレクトソーシングは、学生に対してマスではなく個別にアプローチしており、セミナーや会社説明会に呼び込むのではなく、「個別面談」に呼び込むことが普通です。応募意思が形成されているわけではないので、「面接」ではなく、その前段階の動機形成の場を持つ必要があるわけです。そこで動機形成された学生が、応募、すなわち「面接」へと進むのです。面接社数という観点では、学生の活動量は減少していないと推測されます。

きれいな前倒し傾向を示す面接時期

 面接時期の比較もしてみましょう[図表7]。面接を開始した時期ではなく、面接を実施した月をすべて選んでもらったところ、「4月」までは毎年実施企業の割合が増え、「5月」から一転して減少傾向となっています。

[図表7]面接時期の3年比較(文系・複数回答)

 2017年卒と2019年卒の比較では、前年10月以前:2%→5%、前年11月:1%→3%、前年12月:3%→6%、1月:5%→11%、2月:12%→24%と、2倍からそれ以上に増えています。それ以降も、3月:49%→63%、4月:79%→85%へと増加を続け、5月:92%→87%、6月:78%→64%へと5月以降は減少しています。経団連の指針では面接解禁日とされる6月に面接を実施した企業は3分の2に満たないという状況です。この流れで行けば、来年の2020年卒採用における面接のピーク月は、「5月」からさらに進んで「4月」に前倒しになりそうです。

上位校の学生ほど「面接」とは別の名目で呼び出し

 経団連の指針では、面接選考の解禁は6月1日とされており、経団連加盟の大手企業の間では、解禁前の5月末までは「面接」という表現を使わずに学生との接触を重ねている企業が多くなっています。そこで、「面接」以外の名目での呼び出しにもかかわらず、実質的には面接だったことがあるかを学生に聞いてみたところ、やはり大手企業の選考を多く受けている上位校ほど、そのような事実が裏付けられました[図表8]。旧帝大クラスでは87%もの学生が、「面接」以外の名目で選考会に呼び出された経験を持ちます。早慶クラスでも81%と8割を超え、上位国公立大や上位私大クラスでも7割を超えます。

[図表8]「面接」名目以外での呼び出しの有無(文系)

 具体的にどんな名目が使われたかを自由記述方式で回答してもらったところ、最も多かったのは「面談」でした。さらに、それ以外にも「社員面談」「リクルーター面談」「キャリアマッチング面談」「ジョブマッチング面談」「マッチング面談」「事前面談」「模擬面談」「個別面談」など、さまざまな表現が使われているようです。中には、「一次面談、二次面談、人事面談、役職者面談、最終面談」など、明らかに「面接」を「面談」と差し替えているだけの例もあり、大いに笑えます。最も笑えたのは「人事部長との選考前面談」です。そこまで細かく表現していながら、面接とは決して呼ばないその姿勢に脱帽するしかありません。その他の名目で学生からの回答が多かったのは、「座談会」「お茶会」「キャリアミーティング」「懇談会」「懇親会」「個別説明会」「質問会」「社員訪問」「就職相談会」「食事会」「対話会」などです。

年々増加する複数内定保有学生

 6月後半(6月14~25日)時点での内定保有状況を聞いてみました[図表9]。こちらも経年比較してみると、「0社」、すなわち未内定者は2017年卒:20%→2018年卒:15%→2019年卒:14%と着実に減少しています。逆に言えば、2017年卒:80%→2018年卒:85%→2019年卒:86%と内定保有者が増えているということです。

[図表9]6月後半時点での内定保有社数(文系)

 さらに、内定を「1社」のみ保有する学生の割合も、2017年卒:32%→2018年卒:30%→2019年卒:27%と年々減少しており、6月後半時点で2社以上の内定を保有する学生が年々増えているということになります。複数内定を保有する学生の割合は、2017年卒:48%→2018年卒:55%→2019年卒:58%と、ここ2年間で10ポイントも増加していることになります。特に「4~6社」の内定を保有している学生の伸びが高くなっています。

内定率では大学間格差が減少

 内定保有社数を大学グループ別に比較してみると、未内定者の割合は旧帝大クラスや早慶クラスといった上位校と、中堅私大やその他私立大では10ポイント前後の差が見られます[図表10]。ただし、かつて面接選考解禁日が4月1日だった時代(2015年卒採用まで)と比較すると、大学間格差はこれでも劇的に解消しているのです。

[図表10]6月後半時点での内定保有社数(文系/大学グループ別)

 参考までに、経団連倫理憲章の最終年であった2015年卒学生を対象に実施した4月下旬時点の調査データを見てみると、早慶クラスの未内定率が21%だったのに対して、その他私立大のそれは実に61%にも達していました[図表11]

[図表11]参考:2015年卒・4月後半時点での内定保有社数(文系/大学グループ別)

 4月の選考解禁ですぐに内定を出していたのは大企業がほとんどで、中堅・中小企業の選考・内定出しは5月以降に本格化していたためです。つまり、当時の選考解禁月に内定を持っていたのは大企業からの内定が大半で、中堅・中小企業からの内定はまだこれからというように時期が明確に分かれていたのです。それに対して、近年はインターンシップもそうですが、中堅・中小企業の選考も比較的早くから実施され、大企業との選考時期の棲(す)み分けがなくなってきたと言えます。

内定先の企業規模では大学間格差が歴然

かつて40ポイントもあった内定率での大学間格差は10ポイントほどに縮まったものの、内定を保有している企業の従業員規模で比較してみると、そこには依然として大学間格差があることがよく分かります[図表12]

[図表12]6月後半時点での内定保有企業の従業員規模
(文系/大学グループ別・複数回答)

 例えば、旧帝大クラスの学生で「5001名以上」の大企業からの内定を保有している学生は62%にも達するのに対して、その他私立大の学生は20%にとどまります。逆に、「101~300名」の中小企業からの内定を保有している学生は、その他私立大では38%あるのに対して、旧帝大クラスではわずか6%にとどまります。内定率自体の格差は減少しているものの、どういった企業群から内定を得ているのかまで突き詰めると、内情はまったく異なるのです。

減少に転じた6月の内定取得

 内定を取得した時期をすべて選んでもらったところ、経年での比較で明らかな前倒し傾向が見てとれます[図表13]。「前年12月以前」から「今年5月後半」までは年々内定を取得した学生が増加し、例えば「5月前半」は2017年卒:17%→2019年卒:27%と10ポイントも増加しています。「6月前半」は今年もピークであることに変わりはないものの、2017年卒:61%→2018年卒:65%と増加したのち、2019年卒:57%へと減少に転じています。「6月後半」に至っては、2017年卒:23%→2018年卒:10%→2019年卒:7%と昨年からすでに減少し始めています。

[図表13]内定を取得した時期の3年比較(文系・複数回答)

 複数内定を保有している学生に、第一志望企業以外への内定辞退連絡が完了しているかを確認したところ、6月後半時点ではまだ内定辞退を連絡し終わっていない学生が少なからずいること、また、大学グループによる差が大きいことが分かりました[図表14]。内定辞退の連絡が最も進んでいるのは「早慶クラス」で、「すべての企業に内定辞退を伝えた」学生が73%と7割を超え、「まだ(1社にも)伝えていない」学生は16%にとどまります。一方、「その他私立大」では、「すべての企業に内定辞退を伝えた」学生は47%と半数に届かず、「まだ伝えていない」学生が31%にも及びます。

[図表14]6月下旬時点での内定辞退の連絡状況(文系/大学グループ別)

 この違いは何でしょうか。一概に学生の質で片づけるわけにもいかないと思います。考えられる理由の一つに、内定先企業の違いがあるのではないかと推測します。「早慶クラス」や「旧帝大クラス」といった上位校は、志望していた大企業に内定している割合が多いのに対して、そうでない大学グループでは当初の志望企業の選考に漏れて、方向転換した学生の割合が多く、内定に対する満足感や納得感に差があるのではないでしょうか。あるいは、内定辞退連絡を怠っているのではなく、内定した企業の中での順位付けすらできておらず、彼ら自身の中で内定受諾の企業と内定辞退する企業との切り分けが、この時点でまだできていなかったのではないかとも推測されます。

寺澤 康介 てらざわ こうすけ
ProFuture株式会社 代表取締役/HR総研 所長
86年慶應義塾大学文学部卒業、文化放送ブレーンに入社。営業部長、企画制作部長などを歴任。2001年文化放送キャリアパートナーズを共同設立。07年採用プロドットコム(ProFuture)を設立、代表取締役に就任。約25年間、大企業から中堅・中小企業まで幅広く採用コンサルティングを行ってきた経験を持つ。
著書に『みんなで変える日本の新卒採用・就職』(HRプロ)。
http://www.hrpro.co.jp/

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