jin-jour(ジンジュール) |人材育成、リーダーシップ、モチベーション、メンタルヘルス対策など 人事の視点から、働く人と会社の関係を元気にする情報を発信

ログイン
MENU

メニュー

×

Point of view [2018.10.26]

第121回 伊庭正康

オフ・コミュニケーションのススメ
―できる上司はスキマ時間を有効活用する

伊庭正康 いば まさやす
株式会社らしさラボ 代表取締役

1991年リクルートグループ入社。"残業レス"の仕事術でリクルート社の全国年間トップを4回、累計40回以上の表彰を受けたトップセールス、トップマネジャー。その後、営業部長、関連会社の代表取締役を歴任。2011年、研修会社「らしさラボ」を設立。営業力強化、リーダーシップ、ストレス対策の研修・講演・コーチングを実施。日本経済新聞、日経ビシネスアソシエ、Cancamなど幅広くマスコミでも紹介され、年200回を超えるオファーを受ける人気コンサルタント。近著に『面倒な"やりとり"がシンプルになる仕事のコツ48』(かんき出版)、『強いチームを作る! リーダーの心得』(明日香出版社)など多数の書籍がある。
(株)らしさラボ ホームページ
http://www.rasisalab.com/

 今、職場における関係性が希薄になっているという声は多い。私は三つの要因があると考えている。一つ目は、時間の制約。「働き方改革の一環で残業抑制の影響から、雑談をする余裕がなくなった」というもの。二つ目は、ワークスタイルの変化。「フリーアドレスになったはいいけど、会話は減ってしまった」「直行直帰が推奨され始め、顔も合わせなくなった」といったケースだ。
 そして、三つ目が"部下への遠慮"である。「どこまで踏み込んでよいか分からない」といった部下との距離感を測りあぐね、上司自身が気後れしてしまっている。このご時世、時間の制約、ワークスタイルの変化の潮流は止められない。だからこそ、この三つ目の"部下への遠慮"を断ち切り、上司から積極的に会話することが、職場の関係性の強化にとって不可欠になっているのだ。
 わざわざ飲みに行く必要はない。ちょっとしたスキマ時間に「気軽なオフ・コミュニケーション」をとることが重要なカギを握る。今回は、忙しい状況にあっても、うまくオフ・コミュニケーションをとる実践ノウハウを紹介したい。

なぜ、オフ・コミュニケーションが必要なのか?

 ここでいう「オフ・コミュニケーション」とは、「業務以外の気軽な会話」のことをいう。「飲みニケーション」「ランチに行く」といった「職場からのオフ」だけではなく、「立場・肩書を外す」(肩書のオフ)、「業務以外のこと」(業務のオフ)こそが、オフ・コミュニケーションの本質といえる。
 そして、なぜ、オフ・コミュニケーションが必要なのかといえば、実はオフ・コミュニケーションが、「職場の生産性を高める重要な要素」になるからである。「心理的安全性」という言葉を聞いたことはないだろうか。2014年にグーグル(米国)が「職場の生産性を高める最大要素」として発表した、職場の誰もが役職、立場にかかわらず、何を言っても安全が保障される職場の状態を指す。オフ・コミュニケーションが、この「心理的安全性」を高める大きな役割を担っているのだ。

 振り返ると、確かにそうだ。お互いの"人"と"なり"が分かっていて、関係性ができていれば、「手伝おうか?」と声を掛けやすくなるし、「ごめん、手伝ってもらえない?」とお願いもしやすくなる。「最近、ちょっと疲れていて…」といった相談は、なかなか上司にしにくいものだが、「この上司なら、言いやすい、相談に乗ってもらえそう」と部下に思ってもらえれば、自ずと報告や相談は舞い込んで来る。情報共有も活発になるし、いい情報も悪い情報も早めにつかめるようになり、改善提案も増える効果が期待できる。

しかし、オフ・コミュニケーションをとりにくい現実

 しかしながら、現代はそのオフ・コミュニケーションをとるのが難しくなってきている。冒頭に挙げた働き方改革の一環としての生産性向上・効率化の取り組み、さらには働く場所や働き方の柔軟性を高める施策も増えている状況では、「もう3時か…ちょっとコーヒーでも飲み行こうよ」なんて余裕はなくなってきているし、そもそも顔を合わせる機会自体が減っている。
 しかし一方で、こんな調査結果もある(リクルートマネジメントソリューションズ「理想の上司、上司の社外活動に対する評価、本人の社外活動状況等」2017年10月)。20代一般社員の約6割(57.7%)が理想の上司(管理職)として「職場で自分のプライベートの話をする」ことを肯定しており、「上司にプライベートを共有してほしい」と思っているのだ。職場の姿からは見えない「上司の充実したプライベート」を知りたいという声も多い。2017年12月にリクルートホールディングスは、2018年のトレンド予測を発表し、「人材マネジメント」の分野については「ボス充」がキーワードとして提唱した。「ボス充」とは「充実しているボス(上司)」の略語で、生活を楽しみ、社外活動が充実しているマネジャーは、業務外の経験で学んだことを仕事に活かせるだけでなく、部下から信頼される傾向が高いという。若者は「ボス充」な上司にロールモデルを見いだしたいと考えているのだ。

どんな会話がよいのか?

 さて、いよいよ、すぐに使える「オフ・コミュニケーション」の切り口を紹介したい。休憩時間のフロア、職場の自動販売機の前、そんなちょっとした瞬間にできることばかりなので、気負うことはない。しかも、自分の話を一方的にする会話ではなく、さりげなく、お互いのことを知ることこともできるアプローチなので、ぜひ試していただきたい。

①"何か"を部下に教えてもらう→それがお互いを知るきっかけになる

「ランチでいいところある?」「**なアプリを探しているだけど知っている?」
「最近、子供を遊びに連れて行きたいんだけどイイところがなくて…」等

②"何か"を気遣う→そこから人柄が伝わる

「昨日の大雨、大丈夫だった?」「電車が遅延していたようだけど無事だった?」等

③"何か"に感心する→そこから価値観が伝わる

「このコーヒー、美味しくない?」「あそこのお店、行った? 美味しいよね~?」等

 いかがだろうか。大した会話でなくても構わないのだ。もちろん、無理に話題を合わせる必要はない。ましてや、気を使いすぎて「髪の毛を切ったの? 似合っているね」なんて言おうものなら、ハラスメントになる可能性もある。
 また、部下にとって「聞きたくない話・聞かれたくない話」はNGだ。ウザいと思われ、心理的距離感はどんどん開いていってしまう。

・聞きたくない→ネガティブな話(愚痴、自虐)、病気、昔ばなし

・聞かれたくない→立ち入った話(恋人、夫婦の話)
ぜひ、肝に銘じておきたいところである。

まず実践。繰り返すことで職場が変わる

 さて、ここでまとめておこう。忙しい今、ゆっくりと会話をする時間はどんどん少なくなってきている。だからこそ、スキマ時間を活用して、オフ・コミュニケーションをとることで、相互理解のきっかけをつかみ、部下との心理的距離感を縮めることは不可欠になっている。上司自身が遠慮していては、ますます職場のコンディションに影を落としてしまう。
 スキマ時間を有効に使って、お互いの「人」と「なり」が分かる会話をしていけば、職場に心理的安全性が芽生え、職場の雰囲気も変わり、ますますチームワークや生産性はアップするはずである。ぜひ、オフ・コミュニケーションを職場に取り入れていただきたい。

下のボタンからPoint of viewバックナンバー一覧がご覧いただけます


管理職のeラーニング講座、お試しできます

無料トライアル受付中

禁無断転載
▲ ページの先頭に戻る

シリーズ記事

ログイン

×

人事・労務に役立つ商品・サービス検索

  • カテゴリとジャンルから検索

検索

注目商品ランキング 新着商品