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人事パーソン要チェック! 新刊ホンネ書評 [2018.12.18]

[149]『パワーハラスメント〈第2版〉』

 

(岡田康子/稲尾和泉 著 日経文庫 2018年8月)

 

 本書は、コンサルティング会社の代表で、「パワーハラスメント」という言葉を生み出し、厚生労働省・パワハラ防止対策検討会の委員も務めた著者によるもので、2011年に刊行された第1版を、厚生労働省の報告書や最近の裁判例など、直近の状況を踏まえて全体的に改定した第2版です。

 第1章では、近年パワハラの相談が急増し、労災認定されて会社の責任が認められるケースも多くなっていることをデータで示しています。その背景には、パワハラという言葉が普及するにつれ、何でもパワハラととらえる部下が出てきたことなどもありますが、一方、裁判例では、加害者だけでなく企業の責任が問われるケースも増えていて、パワハラは今や社会問題化しているとしています。

 第2章では、パワハラとはそもそも何か、厚生労働省の定義をあらためて説明するとともに、実際に職場でのどのような言動がパワハラとされているのか、自社の調査結果を基に分析しています。また、パワハラは特別な人が起こすのではなく、仕事熱心な上司が結果的にパワハラをしてしまうことが多いとして、指導がパワハラへとエスカレートするステップを示すとともに、パワハラが起きる心理的メカニズムから、そうした行動を変えるヒントを探っています。それと併せて、パワハラが起きやすい職場の特徴を挙げています。

 第3章では、セクシュアルハラスメント、モラルハラスメント、マタニティハラスメント、ジェンダーハラスメントなど、職場で起きるさまざまなハラスメントを整理し、これらのうち、「モラルハラスメントはパワハラと同じ意味である」としています。また、これらの職場で起きるハラスメントに見られる共通点として、「NOと言えない力関係がある」などを挙げています。

 第4章では、パワハラと指導の違いはどこにあるのかを、判例を基に創作した事例など11のケースについて考察しています。それらを見ていくと、裁判でパワハラかどうかを判断する決め手としては、「客観的に見て指導の範囲を逸脱しているかどうか」が最も重視されているとしています。

 第5章では、パワハラ問題への対象法を考察しています。まず、必ず対処すべきレベルのパワハラ問題(レベル1:犯罪行為に当たる、レベル2:労働法にからむ問題がある、レベル3:社員がメンタル不全になる)と、会社や部門によって対応が異なるレベル(レベル4:排除―嫌悪や怒りを部下にぶつけてしまう、レベル5:過大要求、レベル6:誘発―部下側の問題から誘発されるパワハラ)に分け、それぞれについての対処法を示すとともに、常識のない部下をどう指導すべきかを説いています。

 第6章では、パワハラにならないコミュニケーション術について考察しています。ここでは、効果的なコミュニケーション法について書かれており、メールやLINEなどを使って叱責を伴う指導をしないこと、部下への指示が「業務上必要なのか」を常に自ら問うことを説き、部下にどんな言葉で伝えたらいいのかを解説しています。さらに、言葉以外のメッセージも重要であることなどを説いています。

 「やってはいけない行為を列挙するようなパワハラ防止対策」には限界があるとし、また、上司と部下の関係も変わってきており、「叱る」ということが有効かどうかも検討してみる必要があるとしているのが、個人的には印象に残りました。

 啓発書としてはオーソドックスで、かつ実践的でもあり、職場の上司が手に取って読みやすいものとなっています。もちろん人事パーソンも、一読しておいて無駄にはならないと思います。

<本書籍の書評マップ&評価> 下の画像をクリックすると拡大表示になります

※本記事は人事専門資料誌「労政時報」の購読会員サイト『WEB労政時報』で2018年9月にご紹介したものです。

【本欄 執筆者紹介】
 和田泰明 わだ やすあき

 和田人事企画事務所 人事・賃金コンサルタント、社会保険労務士

1981年 中堅広告代理店に入社(早稲田大学第一文学部卒) 
1987年 同社人事部へ配転
1995年 同社人事部長 
1999年 社会保険労務士試験合格、2000年 行政書士試験合格 
2001年 広告代理店を退職、同社顧問(独立人事コンサルタントに) 
2002年 日本マンパワー認定人事コンサルタント 
2003年 社会保険労務士開業登録(13030300号)「和田人事企画事務所」 
2004年 NPO生涯教育認定キャリア・コンサルタント 
2006年 特定社会保険労務士試験(紛争解決手続代理業務試験)合格 
    
1994-1995年 日経連職務分析センター(現日本経団連人事賃金センター)「年俸制研究部会」委員 
2006年- 中央職業能力開発協会「ビジネス・キャリア検定試験問題[人事・人材開発部門]」策定委員 
2009年 早稲田大学オープン教育センター「企業法務概論」ゲストスピーカー 

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