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採用担当者のための最新情報&実務チェックポイント [2017.01.16]

2017年1月


ProFuture株式会社/HR総研
代表 寺澤康介
(調査・編集: 主任研究員 松岡 仁)

 ProFuture代表の寺澤です。
 昨年は、人事の世界では大変革の兆しがあらわになってきた時期だったように感じます。安倍政権では、少子高齢化・人口減少の中で日本経済が持続的に成長するための必須条件として雇用改革を挙げ、働き方改革を強力に推進しようとしています。経営に貢献する人事がまさに必要とされています。
 また、テクノロジーが進化し、欧米から火がついたHR Techの流れが日本にもどんどん押し寄せるようになりました。製造業においてIoT(Internet of Things)、金融においてFin Techが必須になってきているように、あらゆる産業、業務に、インターネット、テクノロジーの活用が不可欠になってきており、人事もその潮流の影響を免れることはないでしょう。
 ビッグデータ、テクノロジーの活用は、ビジネスへの貢献を見える化することにもつながります。逆に言うと、成果がより明確になるということです。ここでも経営に貢献する人事がまさに必要とされてくるでしょう。
 次世代の人事、人事サービスとはどのようなものになるのでしょうか。おそらく、「人」を扱うという基本については変わらない部分が残りながらも、働き方の変化やテクノロジーの影響で、これまでの延長線上にはない新たな考え方が求められるなど、ドラスティックな変化があるのではないかと思われます。
 今年は、その大変革がより大きく進行する1年になるだろうと予測しています。採用、育成、評価、管理、タレントマネジメント、ダイバーシティ、そして働き方改革、同一労働同一賃金、長時間労働是正など、ありとあらゆる領域において変化が進行するでしょう。しかも、政府が旗を強く振ることで、社会の注目度が極めて高くなっています。人事の活躍が企業価値を大きく左右することになる可能性が高くなっているとも言えます。
 本欄では、今年も新卒採用における変化を皆さまにいち早くお伝えしていければと思います。本年も何卒よろしくお願いいたします。

採用苦戦企業の2017年新卒採用の反省は、「採用活動時期の遅れ」が大半

 今回も前回に引き続き、HR総研が昨年11月15~22日に実施した「2017年新卒採用&2018年新卒採用動向調査」の結果をご紹介していきます。
 まずは、2017年新卒採用を振り返ってみて、こうすればよかったと反省していることについて、11月時点で新卒採用活動を継続している企業と、すでに終了した企業とに分けて見てみましょう。

 まずは、採用活動継続企業のコメントです。

・広報解禁前にすでに動いていた優秀層との接触が取れなかったため、早めに動き出すべきだったと思う(1001名以上、情報・通信)

・採用説明会を6月以降で実施したが、もう少し早くから開始すればよかった(1001名以上、商社・流通)

・開始時期をもう1カ月早めればよかったと思う。また、内定出し後の内定者フォローを、あまり時間を置かずに行えば違った結果になったと思う(301~1000名、サービス)

・優秀な女性の採用はできたが、男性の採用ができなかった。会社の魅力のアピールに、女性と男性で違いがどのように出るのか、方法に間違いがなかったか検証中(301~1000名、サービス)

・採用活動の早期化を甘く見ておりました。どのような活動であれ、早期に広報を開始し学生との接触を図るべきでした(301~1000名、メーカー)

・もっと早い時期から学生と積極的に接触を持つこと(301~1000名、メーカー)

・内定出しまでのスケジュールを短く(301~1000名、メーカー)

・動き始めるタイミングをもう少し早めればよかった(301~1000名、情報・通信)

・協定を順守して、結果として、出遅れた(301~1000名、情報・通信)

・大手の補欠採用という手段対策で、もっと多めに内定を出すべきだった(301~1000名、情報・通信)

・BtoB企業で知名度がないため、大学との関係強化を図ることによる人材確保(300名以下、メーカー)

・インターンシップをもっと積極的に数多く周知、実施すればよかった。今までインターンシップを取り組んでこなかったので手探り状態から始めたのはよくなかった(300名以下、情報・通信)

・内定辞退者が出ることを警戒していたら、応募者数が前年よりも少なく失敗したと思うので、内定辞退を恐れずに予定数の内定を出したほうがよかった(300名以下、情報・通信)

・採用サイトの充実、ライバル企業との差別化もしくは同等レベルの水準(300名以下、マスコミ・コンサル)

・掲載ナビサイトの選定ミス、本社と支社の2カ所での採用活動で情報共有の不備(300名以下、商社・流通)

 300名以下の中小企業では採用活動時期についての反省は少なく、就職ナビの利用やインターンシップ、大学対策など多岐にわたるのに対して、大企業と中堅企業では採用活動の時期の遅れや選考スピードに関する反省が大半を占めています。

採用活動時期については後悔していない採用活動終了企業

 次に、採用活動終了企業のコメントを見てみます。

・研究職について内定出しは6月1日以降を遵守したが、他企業の内定出しのタイミングはもっと早かったので、競い負けたと感じている。来年度は5月下旬内定出しを目指す(1001名以上、メーカー)

・インターンシップが想定よりも効果を上げており、もっと受け入れ数を増やせればよかった(1001名以上、メーカー)

・もう少し採用対象とする母集団を広げたいと思った(1001名以上、メーカー)

・他社の動きをよく把握し、柔軟に採用計画を変更する(1001名以上、メーカー)

・説明会および選考において高い歩留まり率を確保することができたが、母集団形成としてはさらに適性ある学生の確保に努めることが重要であるとの認識を持った(1001名以上、情報・通信)

・内定者フォローを早めに始めればよかった(内定後すぐに)(1001名以上、情報・通信)

・早期に接触する人数を増やすことができればよかったと思う。選考スケジュールがタイトになり、選考できる学生数より受験希望の学生数が多くなり、結果的に待たせてしまった(1001名以上、情報・通信)

・3~4月に応募が殺到したので、選考日程にもう少し余裕を持たせたほうがよかった(1001名以上、情報・通信)

・内定出し後の関係強化(1001名以上、運輸・倉庫)

・外国籍の採用、女性の比率向上、面接の効率化、省力化(301~1000名、サービス)

・内定辞退率をもっと高く設定すべきであった(301~1000名、サービス)

・選考スケジュールが短く、学生が企業研究を十分に行う時間がないため、弊社のようなBtoB企業は学生から発見される頻度が下がる傾向にあり、母集団形成に苦戦した。特に1クール目の母集団確保が最重要課題であり、その点によりフォーカスを当てた取り組みにさらに注力する必要があったと感じた(301~1000名、メーカー)

・インターンシップの活用と学校訪問の増加(301~1000名、メーカー)

・ホームページの改善、採用パンフレットの作成、会社紹介ムービーの作成(301~1000名、メーカー)

・女性活躍推進法を踏まえ、女性に対するアプローチの仕方、対象校の選定、女性社員の活用を、もっと検討し実施すべきであった(301~1000名、情報・通信)

・二次面接に進んだ学生等の囲い込み。当社のアピールを説明すること等、途中段階での施策が足りなかった(301~1000名、情報・通信)

・個別に大学(キャリアセンター、担当職員、大学生)との個別接触をもっと深めればよかった(301~1000名、商社・流通)

・早期活動の重要性を再認識した(300名以下、サービス)

・複数内定保有者へのフォロー。クロージングの詰めの甘さにより、他社に採られてしまった(300名以下、メーカー)

・志望度を最後まで見極めることができなかったので、2018採用では学生との面談時間を増やそうと考えています(300名以下、メーカー)

・学生の業界研究不足が目立ったので、会社説明会のカリキュラムに業界事情を追加すればよかった(300名以下、情報・通信)

・3月以前から業界について知ることのできるイベントを多く行えばよかった(300名以下、エネルギー)

・辞退防止に向けた接触回数のアップ(300名以下、運輸・倉庫)

・もっと早く内定を出し、クロージングとフォローに注力すべきだった(300名以下、マスコミ・コンサル)

 採用活動を終了している企業では、採用活動時期に関する反省を挙げる企業はほとんどなく、選考時のクロージングや内定者フォローなどを挙げる企業の割合が多くなっています。また、企業規模による差異もあまり見られないようです。

冬期インターンシップは1dayタイプが圧倒的

 ここからは2018年新卒採用へ向けた動きを見てみましょう。まずはインターンシップについてです。インターンシップの実施時期には二つの山があります。8月・9月のサマーインターンシップと1月・2月のウィンターインターンシップです。これまでの調査では実施企業の割合比較にとどまっていましたが、今回はそれぞれの時期に実施するインターンシップのタイプ(期間)を聞くことで、その違いを明らかにしました[図表]

[図表]夏期インターンシップと冬期インターンシップのタイプ比較(複数回答)

資料出所:HR総研「2017年新卒採用&2018年新卒採用動向」(2016年11月)

 サマーインターンシップの実施期間を見てみると、最も多いタイプは「1週間(5日間)タイプ」で35%もあり、「2週間タイプ」も25%と4分の1の企業が実施しています。経団連が指針の手引きにおいてインターンシップの期間を「5日間以上」と規定していることや、大学で単位認定されているインターンシップの多くが「2週間タイプ」であるためです。約2カ月にわたる夏期休暇を利用するということももちろんあります。
 実施している内容を見ても職場体験型が多くなっています。

・開発部門に配属して、社員を実際の指導者に付けて、社員が行う開発・実験を担当してもらいました(1001名以上、メーカー)

・新規エンジンの開発体験(1001名以上、メーカー)

・マナー研修、コンプライアンス研修、開発演習、プロジェクト実習、成果発表会(1001名以上、情報・通信)

・職場体験、OBによる業務説明、会社・工場見学、製品試食会(1001名以上、サービス)

・1日目:業務概要の説明および施設見学、2~4日目:現場実習、5日目:質疑応答,親睦会(301~1000名、サービス)

・建築設計実習・測量(2日間)、建築工事作業所施工管理補助(3日間)(301~1000名、建設)

・グループワーク→成果発表、就職活動に向けた日次イベント、営業体験等(301~1000名、メーカー)

・社内各部門に実際に配属し、業務サポートまたはシステムをさわって簡単な疑似業務を行う(300名以下、情報・通信)

・プログラム未経験者向け:androidアプリ制作、プログラム経験者向け:IoTで居住空間を豊かにするシステムの開発(300名以下、情報・通信)

・営業同行、現場見学、オリエンテーション(目的と目標の違いなど)(300名以下、運輸・倉庫)

・1週間の就業体験。打ち合わせや企画会議への参加、顧客訪問への同行など、営業職の体験をしてもらった。半日型、1日型では仕事の疑似体験を、ワークを通してやってもらった(300名以下、サービス)

 これに対して、ウィンターインターンシップの予定を見てみると、「1週間(5日間)タイプ」は13%、「2週間タイプ」に至ってはゼロという結果になりました。圧倒的に多いのが「1日タイプ」で50%、「半日タイプ」も40%に達します。本来のインターンシップは、学生のキャリア支援のための社会貢献活動であり、採用活動とはリンクさせないとされているものの、サマーインターンシップとウィンターインターンシップでは、同じ「インターンシップ」をうたいながらも全く異なるものであることが分かります。
 当然、実施予定の内容も変わってきます。「1日タイプ」や「半日タイプ」では、業界研究、企業研究、座談会、ワークなど座学が中心となり、職場体験の要素はなくなってきます。採用活動での会社説明会やセミナーに近いものが増えています。

・品質管理の演習を少しやって、後は会社のアピール(1001名以上、メーカー)

・ワークショップ形式(ディスカッション)(1001名以上、メーカー)

・先輩社員との座談会、職場見学(1001名以上、情報・通信)

・業界動向、自社PR、社会人の基本など(1001名以上、商社・流通)

・会社説明、ストアコンパリゾン(競合店比較調査)(301~1000名、サービス)

・業界研究、企業研究、ワーク、若手社員との座談会(301~1000名、商社・流通)

・仕事の疑似体験をワーク形式で実施する予定(300名以下、サービス)

・業界説明、コーディネート体験(300名以下、商社・流通)

・マーケティングをテーマにしたワークショップ(300名以下、マスコミ・コンサル)

インターンシップをめぐる新たな動き

 こうした中、1月11日の日本経済新聞の報道によると、文部科学省、厚生労働省、経済産業省は、これまで採用と切り離すべきとしていたインターンシップでの学生の評価を採用に生かせる案を検討しているとのこと。これは極めて大きな動きです。これまでも内閣府を中心に、中小企業の採用支援を目的として、中小企業に限定してインターンシップの採用活動への利用を認めようとする案が検討されたりしたことはありましたが、今回の改革案は企業規模を限定してのものではなく、すべての企業が対象となります。改革案は、経団連、日本商工会議所、経済同友会への提示も済んでおり、各団体との調整を急ぐとされています。
 実際には、現在でもインターンシップはすでに採用活動に何らかの形で利用されているケースが大半であり、単に現状を追認しただけではないかと思われる方もいるかもしれません。しかし、今回の改革案が意味するものはそれだけにとどまりません。公に採用活動への利用を解禁するとなると、インターンシップの開催時期に制限がないこと、インターンシップ参加者はその年度の就活学年の学生だけではないことを考えれば、現在の経団連の指針は実質的に無力化し、「採用活動時期の完全自由化」「採用活動の通年化」につながるものになります。現に経団連は、インターンシップ採用が解禁になった場合には、指針の廃止を検討するとしています。
 採用活動も民間企業の経済活動の一部であると考えれば、「指針の廃止=採用活動時期の完全自由化」は本来あるべき姿かもしれません。規制があること自体がおかしいわけですから。ただ、「守られないスケジュールであったとしても、何らか目安となるべき期日は必要である」と考えている採用担当者のほうが多いのが現実です。採用活動時期の完全自由化は、採用活動のヤマ場とされる時期もなければ、現在10月1日以降とされている内定解禁日すらも当然なくなります。採用活動が前倒しされ、長期化することは必至ですし、内定者フォローに至っては入社式まで続ける必要も出てきます。また、複数年次(複数年度の入社者)の採用活動が並行して行われることにもなります。採用担当者の負荷は現在の比ではなくなるでしょう。体力のある大手企業はまだしも、中堅・中小企業にとっては大変な変革になります。
 昨年12月、経団連は、毎年のようにスケジュールが変更されると混乱を招くとの判断から、2018年卒採用同様、2019年以降も「3月1日 広報開始、6月1日 選考開始」の採用スケジュールを数年は続ける意向であると報道されたばかりだというのに、今回の3省による改革案は、早ければ2019年入社の採用から適用になるとの報道になっていました。仮にそうだとすると今年のサマーインターンシップから採用連動が解禁ということになってしまいますので、それは少しばかり短兵急かと思われます。
 こういった報道があってあらためて考えてみると、経団連による指針や、かつての倫理憲章、就職協定というのは"必要悪"と言ってもいいかもしれませんね。

寺澤 康介 てらざわ こうすけ
ProFuture株式会社 代表取締役/HR総研 所長
中央大学大学院 戦略経営研究科 客員教授

86年慶應義塾大学文学部卒業、文化放送ブレーンに入社。営業部長、企画制作部長などを歴任。2001年文化放送キャリアパートナーズを共同設立。07年採用プロドットコム(ProFuture)を設立、代表取締役に就任。約20年間、大企業から中堅・中小企業まで幅広く採用コンサルティングを行ってきた経験を持つ。
著書に『みんなで変える日本の新卒採用・就職』(HRプロ)。
http://www.hrpro.co.jp/

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