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BUSINESS REPORT
企業の活力向上のカギは「健康経営」
[2016.09.07]

第2回 メンタルヘルスケアの今後

東京海上日動火災保険株式会社


第1回は健康経営の着眼点をデータ活用の視点から追ってみた。第2回は具体的な対策の中でも関心の高いメンタルヘルスケアについて、健康経営の視点から探ってみたい。

ストレスチェック義務化はメンタルヘルスケア対応力強化
を図る好機

2015年12月に施行された改正労働安全衛生法によって、従業員を対象としたストレスチェックとその結果に基づく面接指導等の実施が事業者に義務づけられた。精神障害を発症する労災事故の増加に歯止めがかからない状況が背景にある。国は、この制度を通じて労働者自身のストレスへの気付きを促すとともに、その結果を職場環境の改善につなげ、働きやすい職場づくりを進めることで、労働者のメンタルヘルス不調の未然の防止に役立てたい考えだ。

一方、実施を義務づけられた企業にとって、制度の実施はコスト増につながる。経営環境は以前より改善傾向にあるものの、極力人件費は増やしたくないという企業も多いだろう。

しかし、健康経営の視点から見ると、ストレスチェック制度の実施はチャンスとも言える。近年、過重な業務等に起因して精神障害を発症したと主張する民事訴訟で企業が敗訴するケースは珍しくない。こうしたリスクを軽減するためにはメンタルヘルスケアの対応力強化が必要であり、ストレスチェックはセルフケアを強化する第一歩だ。
「メンタルヘルスの不調は早期に発見し、早期に対応することがその後の回復を早めます。本人も含め、変調に気が付きにくいメンタルヘルスの不調には、ストレスチェックがその発見の機会の一助となるでしょう」と語るのは、長年精神科医として、企業のメンタルヘルスケアをサポートしてきた東京海上日動メディカルサービスの廣山祐仁氏だ。不調による休職からの復職に成功した人は、発症から2カ月程度での早期発見に成功しているケースが多いという。

また、メンタルヘルスの不調は労働生産性を大きく押し下げることも知られており[図表1]、早期の回復は企業の生産性向上にもプラスに働く。

[図表1]メンタル不調による休職・退職者比率と売上高経常利益率(ROS)との関係

※Kuroda Sachiko and Yamamoto Isamu, “Does Mental Health Matter for Firm Performance? Evidence from longitudinal Japanese firm data” RIETI Discussion Paper, No.16-E-016, Research Institute of Economy, Trade & Industry, 2016 (経済産業研究所 「企業・従業員マッチパネルデータを用いた労働市場研究」プロジェクトの研究成果)

EAPが健康経営の課題解決を支援

ところが、実際にはストレスチェックを健康経営の視点で活かしていくには課題が多いようだ。その一つが産業医との連携だ。本来実施者として中心的な役割を担うのが産業医であるが、他の業務と並行しての対応となるなど、時間的な制約等でストレスチェック実施後のフォローが行き届かないこともある。また、従業員自身も、ストレスチェック後の医師面接の申し出は精神的にハードルが高いといったこともあるだろう。もう一つには従業員と職場の上司の知識の問題がある。ストレスチェック後に本人もどのように対応すべきか分からなかったり、上司もどのようにサポートすべきか分からない、といったケースも多いのではないだろうか。

こうした課題の解決策として「EAP(従業員支援プログラム)の活用が有効だ」と廣山医師は言う。
「ストレスチェックを受けっぱなしで終えるのはよくありません。特に結果の悪い(高ストレス)従業員に対しては、ストレスチェックの結果を受けて医師等への相談をするよう働き掛けていく必要があります。実施者である医師による対応が難しければ、ストレスチェックの実施をEAP業者へ委託し、フォローまで対応してもらうことができます」
「また、医師による面接に従業員の抵抗がある場合には、EAPが提供するカウンセリングの活用も有効です。このカウンセリングは法律に定める医師面接ではありませんが、従業員にとっては利便性が高く、ハードルも低いでしょう。実際、私たちがサービス提供をする企業では、約6%の従業員がフォローに反応するなどしてカウンセリングを活用しています。臨床経験の豊富な臨床心理士が精神科医の監督の下で対応しますので、不調の早期発見から早期対応、早期復職につながったと評価をいただくことも少なくありません」

また、現在は安衛法で努力義務とされている集団分析についても、「専門家に分析を手伝ってもらい、その結果を踏まえたセルフケアやラインケアの研修を提供してもらうことで、職場の対応力を高めていくことも効果的」と廣山医師は続ける。ストレスチェックを健康経営に役立てようという目的があれば、こうした外部業者を活用することも合理的な対応となる。

メンタルヘルス不調の再発防止・復職支援をさらに進めるために

先行してメンタルヘルスケアに取り組んできた企業は、さらにその先を行く。メンタルヘルスの不調は再発率が高く、職場で多いうつ病では再発率が50%を超え、一度再発してしまうと慢性的に症状が出やすくなるという[図表2]。今先行する企業が力を入れているのが、再発防止に向けた復職支援だ。

[図表2]うつ病の再発率

今までに1回うつ病になった人が再発する確率 約60%
今までに2回うつ病になった人が再発する確率 約70%
今までに3回うつ病になった人が再発する確率 約90%

※厚生労働省「うつ対応マニュアル」より作図

「再発防止・復職支援は複雑です。運用面では復職基準・プログラムの策定、リワーク機関など社外の施設利用の検討、規則面では休職期間や再休職に関する就業規則の見直し、さらには従業員が安心して療養に励むための休職中・後の金銭的な補償の在り方などをバランスよく検討する必要があり、総合的にサポートできる専門家が求められます。既にEAPも、予防から復職支援へとサポートの軸足を移している最中です」と廣山医師は語る。大企業を中心に、運用に加えて、規則と補償の見直しを通じて再発率の低減につなげようとする動きもあるという。

ストレスチェック制度は、単なるコストととらえるのではなく、企業の安全確保、ひいては生産性向上につながる健康経営推進の中心テーマとして、本格的に取り組むべき課題と言えるだろう。

監修:廣山祐仁(精神科医)

廣山 祐仁 ひろやま ゆうじ

東京医科歯科大学医学部卒業後、同大学病院精神神経科にて研修。その後は民間精神科病院の常勤医師となり、臨床医として研鑽。精神保健指定医、精神科専門医、日本医師会認定産業医。専門は精神病理学、産業精神医学。2002年、東京海上日動メディカルサービス株式会社に入社、EAP事業「アドバンテッジEAP」の立ち上げに参画。現在、同社健康プロモーション事業部EAP室長として、常にEAPの現場に関与。

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第一部 健康経営が企業に与えるインパクト

東京大学政策ビジョン研究センター

健康経営研究ユニット 特任助教  古井 祐司

第二部 従業員の健康被害と企業リスク

森・濱田松本法律事務所

弁護士  髙谷 知佐子

第三部 産業医から見たヘルスケアの課題

東京海上日動メディカルサービス株式会社

第五医療部長  吉次 聖志

第四部 健康経営の実践(取組事例のご紹介)

■お申し込みはこちら■

http://www.tokiorisk.co.jp/seminar/20161011.html

お問い合わせ

事務局: 東京海上日動リスクコンサルティング株式会社

[事務局連絡先]TEL:03-5288-6591 FAX:03-5288-6590
〒100-0004 東京都千代田区大手町1-5-1 大手町ファーストスクエア ウエストタワー23階

主 催:

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※「健康経営」は特定非営利活動法人健康経営研究会の登録商標です


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